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10対0の物損事故、加害者が修理代を払わず「訴えてみろ」と恫喝してきた…対処法は?
まさかの「訴えてみろ」に…(アオサン / PIXTA)

10対0の物損事故、加害者が修理代を払わず「訴えてみろ」と恫喝してきた…対処法は?

相手が悪いことは明らかなのに、賠償を払ってもらえないーー。車輌のトラブルに巻き込まれた後、支払いでもトラブルに巻き込まれた男性から、弁護士ドットコムに相談が寄せられました。

相談者は、夫の車を運転する女性と事故に遭い、警察立会いで物損事故で処理されたといいます。傷は相談者の車のみで、相手の保険会社から「10対0でこちらが悪いので納得のいく修理をさせていただきます、修理中の代車をお出しします」と言われたそうです。

しかし、あとになって女性の親族は「あの傷で保険は使わない」と、その対応に文句をつけ始めたそうです。さらに、「そもそも保険屋には依頼していないから関わるな」と言われたため、保険会社も交渉から離れてしまったそうです。

相談者は、傷の補修と代車の合計4万円を求めましたが、その後、なしのつぶてに。自宅を訪ねると相手の親族から「訴えてみろ」と言われるだけで、支払ってもらえずにいます。

このような場合、どのような対応をするべきなのでしょうか。支払いに応じない相手に法的な責任を問うことはできないのでしょうか。西村裕一弁護士に聞きました。

●保険を使用を判断するのは加害者だが…

ーー相談者は「相手が保険を使えばすぐ解決するのに」と考えているようです

自動車事故が発生した場合に、保険(今回でいうと対物保険)を使用するかどうかは契約をしている加害者側の方で決定します。

今回の修理代で、対物保険を使用すると等級がダウンすることによる保険料の増額のほうが大きくなることがほとんどのため、保険を使用しないという判断をする可能性はあるでしょう。同じく被害者側も車両保険を使用するのは、このケースでは現実的ではないでしょう。

もちろん、だからといって加害者側に支払義務がなくなるわけではありません。

ーー自宅をたずねても応じないそうですが、どう対処すればよいのでしょうか

加害者側が支払ってもらえない場合、方法としては、(1)自分で交渉する、(2)弁護士に依頼して交渉してもらう、(3)支払督促や裁判を提起するということが考えられます。

自宅をたずねても応じないということですから、(1)自分で交渉するのは難しい状況といえます。そのため、(2)か(3)の方法を検討することになります。

金額がそれほど大きくないので、加害者側がどうしても交渉のテーブルに付いてくれない場合には、支払督促という方法を検討してもよいといえます。

支払督促は、裁判所から書類を送付してもらい、2週間以内に相手方から異議が出されなければ、判決と同様に差押えなどができるようになります。もし、異議が出された場合でも、通常の裁判に移行するため、相手方としても裁判に対応しなければ、いずれ支払を命じる判決が出されることになります。

ーー今回のケースでは、加害者の親族が「支払わない」と交渉の場に出てきていますが、加害者以外と交渉する意味はあるのでしょうか

このケースでは物損事故のため、運転者である女性(妻)にしか請求できません。親族は事実上女性の代わりとして示談交渉の場に出てきていますが、裁判になるとそれはできません。他方で、妻が専業主婦の場合には、給与の差押えはできないことになるため、債権回収には一定の労力が必要になるでしょう。

弁護士費用特約に加入していれば、特約を使用して弁護士に対応を任せるほうがよいといえます。

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この記事は、公開日時点の情報や法律に基づいています。

プロフィール

西村 裕一
西村 裕一(にしむら ゆういち)弁護士 弁護士法人デイライト法律事務所北九州オフィス
北九州オフィス 福岡県内2カ所(福岡市博多区、北九州市小倉北区)、東京、大阪にオフィスをもつ弁護士法人デイライト法律事務所の北九州オフィス所長弁護士。企業の顧問弁護士として、顧客対応、クレーム対応へのアドバイスを行う。

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