2020年02月29日 09時35分

道交法無視の自転車多すぎ! いっそ「免許制」にしたら解決する?

道交法無視の自転車多すぎ! いっそ「免許制」にしたら解決する?
写真はイメージです(yamasan / PIXTA)

車と同じように、自転車も「免許制」にすべきではないかという声が上がっている。

「無灯火、逆走、イヤホンやスマホをしながらの運転などをしている自転車を見るたびに、自転車免許は必要だと思う」、「そもそも道路交通法を知らずに自転車に乗っているのではないかという人がいる。啓蒙のためにも必要」など、免許制に賛成する理由はさまざまだ。

一方、「自転車に厳しすぎる」、「コストがかかる」、「世界で自転車に免許制を設けている国はない」、「それよりもマナー教育を徹底すべき」などの反対意見もある。

もし、自転車免許制が導入された場合、どうなるのだろうか。

●自治体などで取得できる「自転車免許」

独自の「自転車免許制度」をおこなっている自治体や学校などもある。学校などで交通安全講習を受ければ、「自転車免許証」を取得できるというものだ。

講習の対象者は主に子どもや高齢者。「むしろ自転車のマナーを学ぶべきなのは、子どもの保護者など、大人なのではないか」という意見もある。

「自転車免許証を取得しなければならない」という法律上の義務はない。そのため、免許証を持っていなくても自転車を運転することはできる。もちろん、持っていないことを理由とした罰則もない。

しかし、このような免許証の取得ではなく、車と同じように「無免許」が許されない「自転車免許制度」を望む声が少なくない。

ただ、「自転車運転免許制度」はないものの、車の運転免許保有者に対しては、6カ月を超えない範囲で自動車等の運転免許停止処分が下される場合もある(道路交通法103条1項8号、同法施行令38条5項2号ハ)。たとえば、自転車でひき逃げの人身事故を起こしたり、飲酒運転を繰り返したりした場合などだ。

なお、「自動車等」は「自動車及び原動機付自転車」を意味するため(同法84条1項)、このように運転免許停止処分が下された場合も「自転車」には引き続き乗ることができる。

●メリット:「加害者」「被害者」になる可能性を減らせる

もし、「自転車運転免許制度」が導入されることとなった場合、どのようなメリットが考えられるだろうか。交通事故に詳しい平岡将人弁護士は、つぎのように語る。

「法的には自転車は『軽車両』として車両の一種となっています。そのため、交通ルールを遵守しないといけません。自転車運転中に歩行者に大きなケガを負わせてしまい、高額の賠償責任が認められた裁判例なども実際に存在します。

自転車運転中に他人にケガを負わせる『加害者』としての側面のみならず、自転車運転中に交通事故に遭遇して死亡してしまう『被害者』の側面からみても、その7割以上が法令に違反していたといわれています。そのため、自転車の運転者が法令を遵守することは、他者を守ることのみならず、自分自身を守ることにもつながるといえます。

しかし、自転車には免許が不要なことから、この交通ルールを学習することなく自転車に乗ることができてしまいます。

私も何度かヒヤっとした経験がありますが、ときに車両運転者としての自覚を欠き、歩行者の感覚で運転してしまっている人もいるように思われます。

実際に『出会い頭衝突事故』の割合はすべての交通事故において約24.5%なのに対して、自転車対自動車の事故では約54%にも及んでいます。これは、歩行者の感覚で、安全確認をせずに運転することが原因として考えられます。

このように考えると、自転車を運転する人には、人に危害を与える可能性がある『車両』を運転する人としての自覚を持たせることが必要といえるでしょう。また、前提として交通ルールを学ぶことも必須です。

この自覚と知識があれば、『加害者』となることも、『被害者』となることも減らすことが期待できます。運転免許制度を導入するメリットはこのような点だと思われます」

●デメリット:維持管理費用の増大は避けられない

逆に、デメリットはどのようなことが考えられるのだろうか。

「まず、利便性が大きく下がるというデメリットがあります。自転車は、子どもの日常利用や外国人の観光利用など、様々な場面で利用されています。気軽に利用できる移動手段であり、ちょっとした外出にも利用できるとても便利な道具です。条件を厳しくすれば、子どもが自転車に乗れなくなってしまう可能性もあります。

自動車の運転免許保有者数は、我が国では8200万人(平成30年)となっています。これだけの数の免許の維持管理(たとえば、免許の取得のための試験、定期的な更新や講習、運転免許の点数制度の運営、警察による定期的な法令違反の検挙活動など)に、多くの資源が投入されています。

もし、実際に『自転車運転免許制度』を導入した場合、自動車免許制度の既存インフラの大部分を利用するにしても、免許希望者は自動車免許取得者以上となることが考えられます。そのため、維持管理費用の増大は避けられないと思います。また、この費用増加に対応するために新税ができたとしたら、利用者の負担となってしまいます。

さらに、免許制度がある自動車も交通ルール違反が多発しており、交通事故による死傷被害者は未だに多いのが現状です。そのため、多額の資源を投下して自転車を免許制度にしたからといって、交通ルールを遵守するようになるのかとの疑問も生じます」

●必要なのは「正しい知識と、運転者としての自覚」 

平岡弁護士は「自転車の運転者に交通ルールをきっちり理解してもらい、安全運転をしてもらうための方法を考えたい」と語る。

「自転車だけではなく、歩行者が交通事故に巻き込まれるのも、多くは交通ルール違反が要因となっています。そのため、公道利用のルールとして、定期的に、広く国民に対して知識を伝える努力が必要だと考えます。

ルールそのものを伝えることも必要ですが、交通ルールを守らないデメリットをもっと認識してもらうのも1つの方法です。

たとえば、『交通事故死者の多くは交通ルールを守っていない』という事実や、『いざ事故に遭ってもルールを守っていないと、十分な賠償を受けられなくなること(過失相殺されるため)』などを知ってもらうことです。

私自身も、歩行者の交通事故死傷者数は7歳児(小学1年生)がもっとも多いという統計があったので、注意喚起のためのパンフレットを作り、配布したこともあります。すると、パンフレットを手に取った方々から「知らなかった」「子どもに気をつけさせたい」などの反響がありました。

免許制度の創設維持よりも費用は少なく済むと考えられることから、このような告知などを定期的に税金でおこなうべきだと思います。

また、警察に余力があるならば、自転車の違反の検挙を推進してもらうことです。このように自転車運転者としての自覚を促していくことで、抑止効果が期待できるでしょう。

『正しい知識』と『運転者としての自覚』。この2つを促すことが重要だと思います」  

取材協力弁護士

平岡 将人弁護士
中央大学法学部卒。全国で8事務所を展開する弁護士法人サリュの代表弁護士。主な取り扱い分野は交通事故損害賠償請求事件、保険金請求事件など。著書に「虚像のトライアングル」。実務家向けDVDとして「損保会社を動かす!交通事故被害者を救う賠償交渉ノウハウ全三巻」など。
事務所URL:http://legalpro.jp/

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この記事へのコメント

歩行者も自転車もバイクも車も大事 30代 男性

まず自転車云々以前の問題です。
歩行者のレベルから交通講習をしないと意味はありません。

なぜなら自転車は左側通行が原則と知っている人は多くても、
歩行者の通行区分を正確に理解している人は少ないからです。

もしくは一つ例に出して言うと、住宅街のカーブミラーを見て
注意しながら歩いている人なんてほとんど見かけません。

そんな現状で、ふだんの歩行者が自転車に乗って問題を起こすわけです。
そういう認識が社会の中にほとんどないまま、
自転車のベルと同様に安易な自転車叩きに走っているのが現状です。

こういう状況は、自転車乗りだけの問題でなく社会全体の不幸です。

そんな状況で自転車だけを厳格化すれば法的にも社会的にも不公平を増して
社会に多大なフラストレーションやストレスを与えるのは自明の理。

世界中で免許制やナンバープレートを導入している国がどのくらいありますか?
そういうことも踏まえず、安直に免許制にしろなどと言う人は
社会への悪影響を想定できない無責任なクレーマーでしかありません。

匿名ユーザー 男性 40代

車やバイク乗っている人も歩かないことはない。中国と違って日本の道交法は歩行者を交通の基本としているからそれは当然だね。車しか乗らないバイクしか乗らない人ばかりじゃないし。

yoshio58 男性 20代

この記事がメリットとして強調している自転車運転者の「被害者」としての側面から専ら事故の減少のみを論じるならこの主張はその通りですが、一方で「加害者」としての側面を考慮して事故を減らそうと思えば、人がただ歩いているだけで交通犯罪として刑法から分離して車同様に特別法で取り締まるほどに特殊性はないと思いますし、それゆえ歩行者講習の必要性はなく、自転車講習で足りると思います。

例えば、歩きスマホしている人が曲がり角で老人とぶつかってその老人を死なせた場合を考えてみてください。車で人を死なせた場合の自動車運転過失致死罪は、恐らく過失致死罪における注意義務違反以上の車の運転における特別の注意義務違反を想定しているはずで、それゆえにより重い刑罰が与えられるのだと思います。現在の法律ではこの自動車運転過失致死罪に自転車の運転は含まれていませんが、自転車の運転も歩行者の生命身体に対する類型的な危険を有していますから、それに応じてより高度注意義務が要求され、刑法上の過失致死罪とは別に取り締まられるべきです。
それでは、この論理は歩行者にもあてはまるのでしょうか。すなわち、歩行時における注意義務は果たして過失致死罪の注意義務より高度のものなのでしょうか。もしそうだとするなら自転車含む車の運転は独自的に生命身体に対しての危険性を有するのではなく、ただ歩行する行為が危険性を持つわけで、運転はその危険性を高めるにすぎないというそれはそれで興味深い意見だと思います。しかし、ただ「歩く」というだけの行為に人に危害を与えうる他の行為より高度の注意義務が要求されるというのは一般的な認識とはかけ離れていますし、投稿者さんの意見からも「歩く」行為自体が「加害者」として危険であるというような意図は読み取れませんでした。したがって、「加害者」としての歩行者に刑法で想定される以上の交通犯罪としての特殊性はないものと考えます。

歩行者に「加害者」として特別の注意義務が要求されない以上、講習などして特別に対処する必要性はありません。それゆえ「被害者」としての側面に注目して講習(というか啓蒙)するという趣旨となるかと思いますが、弁護士ドットコムNEWSの過去記事でもあったように、原則歩行者が歩道を歩くのにエリアを制限されることはありません。投稿者さんのいう「自転車は左側通行が原則」というのは恐らくは道路での話であり、自転車は条例で認められていない限り歩道を通行することができません。投稿者さんの地域では条例で自転車の歩道通行が許可されており、自転車は左側、歩行者は右側と決まっているのかもしれませんが。そもそも、いくら被害者に啓蒙したところで危険な行為をするのは運転者ですし、車の利用によって便益を受けている以上、運転者の側が注意すべきです。歩行者に責任が転嫁できるのは立ち止まっていた人が急に目の前で飛び出してきた場合や信号無視やのような明確な違反行為の場合のみで、歩きスマホなどのマナーのなっていない歩行者に対してまで、運転者がそれを予期できないということはないはずです。ゆえに、歩行者公衆をしたところで、被害者である歩行者に「君子危うきに近寄らず」以上のアドバイスはできませんし、赤信号無視のような明確な違反行為以外についてはそもそも強制できません(もっとも、赤信号無視ですら取り締まられた事例は皆無と聞きますが)。これを踏まえると、この記事は「被害者」としての自転車運転者にウェイトを置いているため「加害者」としての自転車運転者について講習することの意義があまり説明されていませんが、実情は自転車講習のメリットは「加害者」としての側面が前提のものであり、副次的に得られる「被害者」としての側面からの利益が大きいという構造です。それに対して、投稿者さんが歩行者講習の必要性として説かれた歩行者の通行区分とカーブミラーの確認という2点の事実は専ら「被害者」としての歩行者であり、またそのどちらも通常歩行者期待される行為ではないため、投稿者さんの主張が全体として運転者の責任を歩行者に擦り付けているような印象を受けます。投稿者さんの言葉を借りれば、歩行者講習を行うことこそ「法的にも社会的にも不公平を増して社会に多大なフラストレーションやストレスを与えるのは自明の理」であります。

したがって、歩行者講習は不要です。

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レレレおじさん 40代 男性

自転車を免許制にするなら、無謀な歩き方をしている歩行者にも免許制にしてバンバン赤切符を切ってもらいたい。不注意な歩行者は危ない自転車以上に危険。

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匿名ユーザー

長々書いて、わけのわからない論点にすり替えているウマシカがいるようだ。

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yoshio5800 20代 男性

たしかにな。自転車に乗る奴も普段は歩行者だという基本的なことが
わかってない奴が詭弁強弁を垂れていて笑える。

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