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愛犬を連れて別居した妻「お世話したのは私」と自負も、買ったのは夫
お世話してくれる人がいいワン?( よっし / PIXTA)

愛犬を連れて別居した妻「お世話したのは私」と自負も、買ったのは夫

ペットを飼っている夫婦が離婚や別居をする際、ペットは夫と妻、どちらのものになるのでしょうか。

ある女性は、愛犬とともに別居を始めたそうです。しかし、「夫が購入した犬なので、犬に会わせてはあげたいものの、渡したくはありません」と、弁護士ドットコムに相談を寄せました。

というのも、購入したのは夫ですが、主にお世話をしてきたのは相談者だったからです。「結婚前に初めて犬にあったとき、毛もボサボサ、洗ってもらえておらず、散歩にも行っていませんでした。結婚後に私がお世話をするようになって、犬は元気になりました」と、胸を張ります。

購入したのは夫ですが、今回のようなケースでも、夫のものと考えられるのでしょうか。別居や離婚時のペットの連れ出しをどうするべきか、渡邉正昭弁護士に聞きました。

●「夫婦の共有財産と解する余地がある」

結婚後に一緒に購入したのであれば、犬は夫婦の「共有財産」です。一方で、結婚前に夫が取得した犬は、夫の「特有財産」となるのが原則(民法762条)です。

しかし、夫が飼育を妻に任せ、家計から飼育費を支出し、主に妻が愛情をもって適切な飼育をしてきたような場合は、夫婦の共有財産と解する余地があります。

犬を連れ出した妻が罪に問われることはありませんが、妻に連れ出す権利があるとも言えません。

もっとも、財産分与の協議で、犬の財産的価値を問題とすることは夫婦の意思や実情に馴染まないものでしょう。

離婚での子どもの養育に関する取扱いを参考にしながら、双方の合意による柔軟な解決を図ることが望ましいと思います。

(弁護士ドットコムニュース)

プロフィール

渡邉 正昭
渡邉 正昭(わたなべ まさあき)弁護士 渡邉アーク総合法律事務所
交渉戦略家・弁理士 元家事調停官 心理学を活用した法的交渉が特徴。ペット問題に30年関わり、相談や事件依頼は全国各地から、近時は世界各国からも。セカンドオピニオンや引き継ぎ依頼も多い。

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