子どもの将来のために、さまざまな習い事に通わせている親御さんは多いのではないでしょうか。定期的に発表会を開催しているところもあるようですが、「チケットのノルマを背負わされている」という相談が弁護士ドットコムに複数寄せられています。
子どもが和太鼓教室に入っているという男性は、教室の公演のチケット販売を親が行うようにと言われました。販売はノルマ制で、不達成の場合には買取になる可能性があると告げられ、「チケットノルマ制とは法律上容認されることなのでしょうか」と疑問に感じています。
また、別の男性は、発表会に参加する場合、参加費5000円とは別に、チケットノルマとして1枚1000円の座席券を5枚以上購入することが求められました。加えて、衣装代3000円や発表会のDVD(4320円)の購入も強制だと言います。
こうした発表会でのチケットノルマ制は、法的に問題ないのでしょうか。萱垣建弁護士に聞きました。
●入会時に明記されていたら「承諾するしかない」
ーー習い事などでのノルマ制は、法的な問題にならないのでしょうか。
「確かに、ノルマ制はいっけん問題があるように思われます。
しかし、入会するとき、そのことが契約書などで明記されていた場合は、それを承諾して入会したとみなされます。よほど暴利でない限り、発表会に参加する条件になっているならノルマなどを達成する義務があると考えられます」
ーー入会後に途中で言われた場合はどうでしょうか
「発表会に参加するかどうかは自由です。参加したいのであれば、その条件を承諾するしかないでしょう。参加しなかったため辞めさせられるなどの不利益を受けた場合は、損害賠償を求める余地があります」
●どのような契約をするかどうかは「自由」
ーー運営側がどんなノルマを設けるかは自由ということですね
「はい。一般的に、どのような契約をするかどうかは自由です。
例えば、発表会に参加するためには参加費5000円、チケットノルマ1枚1000円の座席券を5枚以上、衣装(3000円)、DVD(4320円)の購入が必要というのは、主催者側の契約の条件です。
その条件での発表会への参加を承諾するかどうかは自由ですが、参加したいのであれば、その条件を承諾して契約することになります。
子どものことを思う親御さんの気持ちを逆手に取った契約のようにも思えますが、主催する側も、それなりの費用がかかるわけですから、ある意味、やむをえない条件とも思われます。
ですので、なるべくノルマなどの少ないところを選ぶことが良いでしょう」