友達の家に入り浸り、世話をしてもらう、いわゆる「放置子」に悩まされる人がいます。その1人、神奈川県のアユミさん(30代、仮名)は子どもを連れて公園に行く度に、問題の放置子に会わないかヒヤヒヤしているそうです。
まだ4歳か5歳と思われるその子は、親に連れられて公園に来ます。到着すると、その親は「ちょっと用事があるんで、この子、みていてもらえますか? 手はかからないと思うんで」と言って、置いていくそうです。
と言っても、まだ小学校入学前の子どもです。当然「一緒に遊んで」「飲み物を買って」「お腹がすいた」とお世話を要求してきます。アユミさんは「一度きりならよかったのですが、会うたびに要求されるのが苦痛です。ただ、子どもに罪はありません。喉が乾き、お腹を空かせている子どもを放っておくことはできないので。本当につらいです」と言います。
アユミさんは「本来、親が用意すべき食事や飲み物の費用を請求できるのでしょうか。もしあの放置子が怪我をしたり、誰かを怪我させてしまった、あるいは誰かのモノを壊してしまったりした場合には、私の責任となってしまうのでしょうか?」と心配しています。
放置子のお世話をすることになった場合、面倒をみる側にはどのような法的なリスクがあるのでしょうか。浮田美穂弁護士に聞きました。
●放置子が怪我をした場合、責任を問われることも
ーー放置子の面倒をみることになった場合、どのようなリスクがあるのでしょうか。
「アユミさんの場合、親から頼まれて引き受けていますので、法律上は準委任契約が成立していることになります。そうしますと、面倒をみる側は、子どもを預かった場合に一般的に要求される注意をはらって(善管注意義務といいます)、その子どもの面倒をみないといけません。
そのため、きちんと面倒を見ずにその子どもが怪我をした場合には、善管注意義務に違反したということで、その親からの責任を問われる可能性が出てきます」
ーー放置子がだれかに怪我をさせてしまった場合や、誰かのものを壊してしまった場合も、面倒をみている側が責任を問われるのでしょうか。
「自らが監督義務を怠っていなかった等限られた場合を除いて、その子どもの親が賠償責任を負いますが(民法714条1項本文)、親に代わって子どもを監督する者も責任を負うことがあります(民法714条2項)」
●場合によっては、児童相談所への通告を
ーー親が用意すべき食事や飲み物の費用は請求できますか。
「準委任契約では必要な費用を請求することができますので、親が用意すべき食事や飲み物の費用を請求することはできます。
ただ、面倒を見る側の法的なリスクというのは高いと思いますので、親同士の信頼関係が相当あり、子どもの特性、性格などもよく理解している間柄でないと、トラブルに巻き込まれてしまうかもしれません」
ーートラブルを回避するためにできることはありますか。
「子どもを一時預かってくれる施設やシッター等を利用してもらうようにお話し、それでも子どもを公園に放置するようであれば児童相談所に通告されればよいと思います」
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