「女子高生のお仕事を見学する店」と宣伝していた「JKビジネス店」が摘発を受け、経営者ら3人が逮捕された。報道によると、この店は、制服ミニスカート姿の女子高生がイスに座って折り紙をする姿を、マジックミラー越しで客に見学させていたという。
逮捕容疑は今年2月27日、東京・池袋の店舗内で、17歳だった無職少女に作業をさせ、男性客に下着をのぞかせたこと。少女が18歳未満と知りながら、労働基準法上の「危険有害業務」をさせた疑いが持たれている。この店には17~18歳の少女が多いときで30人ほど在籍し、ほとんどが女子高生だったと、警視庁少年育成課はみているという。
産経新聞によると、店はウェブサイト等で「高校生が一生懸命作業している姿を見学するお店です」「いわゆる労働基準法の有害業務に当たる業務はさせません」と説明していたというが・・・。この「有害業務」とは、いったいどういう業務なのだろうか。三平聡史弁護士に聞いた。
●18歳未満には「大人とは違う規制」がある
「最近はいろいろな新しい『JKビジネス』が登場しては摘発され、問題視されていますね。
店で働かせるキャストが18歳未満の場合は、『児童福祉法』など、大人とは違う規制がかかってきます。
今回焦点となっているのは、そういった規制の一つで、労働基準法62条に定められている『18歳未満に危険有害業務をさせてはならない』というルールです」
危険有害業務というのは、そもそも何なのだろうか?
「どんな業務が『危険有害業務』になるのか、その範囲は『年少者労働基準規則』で決まっています。たとえば、ボイラーの取扱い業務など、46の禁止業務がリストアップされていて、その中のひとつに『特殊の遊興的接客業における業務』があります(45号)」
●「ノーパン喫茶」時代の通達
では、その「特殊の遊興的接客業における業務」というのは、どういう業務なのだろうか?
「その点については、いわゆる『ノーパン喫茶』で働くウェイトレスを前提とした昭和56年(1981年)の通達で説明されています。今となってはご存じでない人もいそうですが、その当時、下着を付けないウェイトレスが給仕をする喫茶店『ノーパン喫茶』が問題になったんですね。
この通達のポイントは、『こういう服装でウェイトレスをさせたらダメですよ』と基準を示していることです。具体的には、『上半身シースルー、下半身ミニスカー卜着用、ノーパン、またはこれと同程度かこれ以上裸に近い服装』という基準です」
たしかにノーパン喫茶なんていう言葉、今はまったく目にしない。始球式の記事で「ノーバン投球」ならよく見るが・・・それはともかく。
「結局、この通達でも『下着が見える格好』がダメかどうかは、ハッキリしません。
この通達ではまた、『客の傍らに座る・客に触らせる・客と一緒に踊る』サービス態様もダメだと記載されていますが、報道されているように、<制服ミニスカート姿の女子高生がイスに座って折り紙をする姿を、マジックミラー越しで客に『見学』させていた>ということだとすると、これらには該当していません。
そうすると、少なくともこの通達をもとにして考えた場合、キワドい判断での逮捕だと思います。刑事裁判となった場合には、裁判所が有罪だと認定しない可能性もあるかもしれません。ただ、通達はあくまで行政側の示した指針で、しかも昭和56年の古いものですから、裁判所がどのような判断を下すかは未知数です」
このご時世、女子高生の下着を見せる商売が、倫理的にOKと判断されることはないだろうが・・・。どこまで「法的にアウト」と言えるのかは、意外と簡単ではないのかもしれない。