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「キラキラネームだとバカにしないで!」名前をからかった相手を訴えられるか?
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「キラキラネームだとバカにしないで!」名前をからかった相手を訴えられるか?

「キラキラネームをバカにしないで欲しいです」。ネットのある掲示板に、こんな投稿が寄せられた。最近、キラキラネーム(奇抜な名前)に関する話題が注目されることが増えているが、当事者は複雑な思いを抱いているようだ。

この投稿者は、ある元素と同じ名前で、10人中10人が聞き返してくるような名前だという。自身は気に入っているそうだが、ネットでは、その名前がキラキラネームとして挙げられ、「付けられた子供が可哀想」「付けた親はまともじゃない」などのコメントがあった。

投稿者は「この名前で辛いことを挙げるなら、一番は何も知らない人にバカにされることです」とつづっている。もし、人の名前を「キラキラネームだ」と指摘したり、からかうようなことを言った場合、どんな問題になるのだろうか。長瀬佑志弁護士に聞いた。

●「DQN」は侮辱的表現だと認められている

「特定の子どもの名前をバカにした場合、法的責任を追及される可能性があります。たとえば、ある子どもの名前を『キラキラネーム』『DQN(ドキュン)ネーム』などと指摘した場合、その子どもや名前をつけた親を侮辱していると考えられるからです。

特に『DQN』という表現は、ネット掲示板から広がった蔑称で、裁判上でも侮辱的表現であることが認められています(東京地判平成15年9月17日)。

この判例からすれば、『DQNネーム』『キラキラネーム』と指摘することも、同様に侮辱的表現にあたる可能性があります。子どもや名前をつけた親を誹謗中傷するものであり、社会的地位を低下させるものとして、法的責任が問われることがあり得ます」

では、特定の子どもの名前をバカにした場合、どのような責任を負う可能性があるのだろうか。

「その子どもや、名前をつけた親の名誉を毀損したとして、損害賠償請求の対象になり得ます。また、さきほど説明した裁判例のように、インターネット上で子どもの名前をバカにした投稿をした場合、発信者情報の開示請求が認められることも考えられます。

さらに、このような民事上の責任のみならず、名誉毀損罪(刑法230条)や侮辱罪(刑法231条)の成立も考えられます」

長瀬弁護士はこのように語っていた。

(弁護士ドットコムニュース)

プロフィール

長瀬 佑志
長瀬 佑志(ながせ ゆうし)弁護士 弁護士法人長瀬総合法律事務所
弁護士法人「長瀬総合法律事務所」代表社員弁護士(茨城県弁護士会所属)。多数の企業の顧問に就任し、会社法関係、法人設立、労働問題、債権回収等、企業法務案件を担当するほか、交通事故、離婚問題等の個人法務を扱っている。著書『企業法務のための初動対応の実務』(共著)、『若手弁護士のための初動対応の実務』(単著)、『若手弁護士のための民事弁護 初動対応の実務』(共著)、『現役法務と顧問弁護士が書いた契約実務ハンドブック』(共著)、『現役法務と顧問弁護士が実践している ビジネス契約書の読み方・書き方・直し方』(共著)、『コンプライアンス実務ハンドブック』(共著)ほか

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