理化学研究所の新しい理事長に就任したばかりの松本紘(まつもと・ひろし)氏(72)が4月1日、東京都内で記者会見を開いた。STAP細胞をめぐる研究で不正認定された小保方晴子元研究員(31)について、松本理事長は「研究者として基本的なリテラシーが足りなかったと理解している」と語った。
松本理事長は1965年に京都大学工学部を卒業し、京大宙空電波科学研究センター教授などをへて、2008年10月から2014年9月にかけて、京大総長をつとめた。10年以上にわたり理研の理事長をつとめた野依良治氏(76)が、任期途中にもかかわらず、今年3月いっぱいで退任したため、後任として白羽の矢がたった。
●「研究不正をおこさないような高い規範と倫理意識を保っていく」
松本理事長は会見冒頭、この一年間理研を揺るがしたSTAP問題に触れて、「研究不正をおこさないような高い規範と倫理意識を保っていく」と述べた。そのうえで「理研だけではなく、科学全体の信頼を取り戻し、国民生活への寄与や国際貢献を目指す機関として発展させていきたい」と抱負を語った。
STAP細胞の研究をめぐっては、ちょうど1年前に研究不正が認定された。当時、理研の外部にいた松本理事長は「一般的な研究者や市民が受けた印象とそんなに変わらない」「まさか1年後に理事長を引き受けるとは思わなかった」と振り返った。
また、STAP論文の筆頭著者である小保方氏の評価について、記者から問われると「私自身で直接見たわけではないが、調査などで『研究者として基本的なリテラシーが足りなかった』と指摘されている。私もそうではないかと理解している」と語っていた。