渋谷区の条例で注目集める「同性婚」憲法は認めていないのか? 弁護士27人に聞いた
東京都渋谷区が同性カップルを「結婚に相当する関係」と認める条例案を発表して、大きな反響を呼んでいる。

渋谷区の条例で注目集める「同性婚」憲法は認めていないのか? 弁護士27人に聞いた

東京都渋谷区が2月中旬、同性カップルを「結婚に相当する関係」と認める条例案を発表したことが、大きな反響を呼んでいる。


渋谷区の条例案は、同区在住の20歳以上の同性カップルが申請すれば、区が「パートナーシップ証明書」を発行するというものだ。お互いを後見人とする公正証書の提出などが条件になっているが、LGBT(レズ、ゲイ、バイセクシャル、トランスジェンダー)など性的少数者から条例案を歓迎する声があがっている。

●憲法は「異性婚」のみを想定している?


ただ、今のところ「同性婚」そのものは制度的に認められていない。この問題は国会でも取り上げられたが、安倍首相は2月18日の参院本会議で、同性婚について「現行憲法の下では、同性カップルの婚姻の成立を認めることは想定されていない」と述べた。しかし一方で、「憲法24条は同性婚を排除していない」という意見が、LGBT支援者や法律家などからあがっている。

憲法24条1項には「婚姻は、両性の合意のみに基いて成立し、夫婦が同等の権利を有することを基本として、相互の協力により、維持されなければならない」という文言がある。これをどのように解釈するかで、結論が変わってくるようだ。

はたして憲法は「同性婚」を認めていないのか。それとも、認めているのか。弁護士ドットコムに登録している弁護士に意見を聞いた。

アンケート詳細

憲法は「同性婚」を認めている
9
憲法は「同性婚」を認めていない
1
どちらでもない
17
投票数合計:27
コメント数:20

コメント一覧

8
鈴木 佑一郎 弁護士

我が国の憲法は、24条1項において「婚姻は、両性の合意のみに基いて」とし、2項も「両性の本質的平等」としています。文字通り読めば、憲法が保障している結婚というのは両性の間で行われるもの、すなわち男女間の婚姻ということになるのでしょう。もっとも、制定根拠は家制度からの脱却という点にあり、同性婚を禁じるために記載されたものではないと考えられます。

杉本 朗 弁護士

憲法は、それぞれの人が自分の生き方は自分で決めること(=自己決定権)を保障しています。その一環として、結婚するかしないか、同性婚か異性婚か決めることも保障されていると考えます。 憲法24条の表現は、憲法が作られた当時は、異性婚が普通だったという時代的制約によるもので、それから直ちに同性婚を憲法が保障していないということは短絡的だと思います。

青木 豊 弁護士

憲法24条1項は、同性婚を排除し両性(男女)のみに婚姻を認めるかどうかは重視せず、両親や一族の同意といった家制度に縛られず、夫婦の合意だけで自由に結婚できるようにすることを意識して作られた規定といえます。そのため、24条1項自体は同性婚について中立的、端的に言えば同性婚をあまり意識していなかったといえます。 他方で憲法13条は幸福を追求する権利を認めており、同性婚も両性の結婚と同様に幸福の追求には必要といえますから、憲法は同性婚も認めているといえます。

塩見 恭平 弁護士

「婚姻は、両性の合意のみに基いて」(憲法24条1項)「両性の本質的平等」(同条2項)という文言をそのまま読めば、男女の両性ということになるかと思います。 しかし、憲法制定時の歴史的経緯から考えると、「両性」とは、婚姻しようとする二人、と読むことができます。すなわち、許嫁制度など、婚姻しようとする二人以外の意思を介在させないという趣旨です。したがって、憲法24条は同性婚を禁じるためのものではないし、婚姻しようとする二人を妨げないものだと考えられます。

桑原 義浩 弁護士

憲法24条の文言からすれば、ここには同性婚というものを含めるのは難しいと思います。両性の平等が保障された日本国憲法のなかで、婚姻という場面でも女性が差別されないことを保障するのが同条の趣旨だと考えます。ただ、憲法が同性婚を認めていないのか、というとそうではなく、憲法13条にいう自己決定権のなかで、自分のライフスタイルを決めていく権利は保障されているので、ここから同性婚を選択する自由は保障されているものと考えます。

太田 哲郎 弁護士

憲法の規定の「両性の」という表現は、憲法制定当時の同性愛についての社会的な認識の状況に制約されていたものであり、特に、同性婚を否定する趣旨での規定ではないと解され、その後、現在のように、同性婚が、異性婚と同様に法律上認められるべきであるという社会風潮も有力となった段階では、法律により、同性婚を認めることとしても、それを、憲法が許さない趣旨であるとは、解されないからである。

有馬 ゆきみ 弁護士

憲法24条に「両性」という言葉が使われているのは制定時に同性婚を想定していなかったからに過ぎず、同性婚を排除する意図はないでしょう。 他方で憲法14条は法の下の平等を定めており、性的指向のように本人が自由に選択できない事由による差別は、人種や性別による差別と同様、原則としてこの規定に違反すると考えられます。 これに照らせば、異性愛者のカップルのみに婚姻による法的保護を与えて同性愛者のカップルにそれを与えないことこそ憲法違反であり、同性婚を認めるのはむしろ憲法上の要請だとも言えると思います。

大貫 憲介 弁護士

同性婚は、幸福追求権(13条)に含まれるべき内実をもっているので、憲法の保障対象と考えるべきです。憲法は、少数者の人権の保障を意図し、13条は、後の人権思想を包含するための規定だからです。 なお、現行法下においても、同性婚への法的保護は可能です。①内縁関係と同様、準婚関係と捉える事が出来るでしょう。その不当破棄は、慰謝料の対象と考えます。②同性婚契約の締結が可能です。③外国にて有効に成立した同性婚は、既に、日本における在留資格(ビザ)の対象になっています。

ニュース編集部後記

アンケートで回答した27人の弁護士のうち、17人が<どちらでもない>を選択した。一方で、9人が<憲法は「同性婚」を認めている>、1人が<憲法は「同性婚」を認めていない>を選んだ。

<どちらでもない>の理由としては、「憲法上の権利として認めていないが禁止まではしていない。法律によって認めることは差支えない」という意見があった。

<認めている>の意見の中には、「(憲法24条の)制定根拠は家制度からの脱却」「(自己決定権を定めた)憲法13条のなかで保障されている」という意見があった。<認めていない>と回答した人「明文規定がない以上憲法は認めていない」という意見を示した。

今回の渋谷区の条例案をきっかけに「同性婚」をめぐる議論が広がっている。性的少数者の人権にかかわる問題であり、今後の展開しだいで、「同性婚」を認める立法の議論へとつながっていくかもしれない。

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