元朝日新聞記者で慰安婦問題の報道に関わった植村隆氏が1月9日、東京・有楽町の外国特派員協会で記者会見を開き、「不当なバッシングに屈するわけにはいかない」と語った。記者からは、朝日新聞が虚偽だったとして記事を取り消した「吉田清治氏の証言」についての質問も出たが、植村氏は「吉田証言の記事を1本も書いていない」と関与を否定した。
植村氏は、1991年に韓国で初めて「私は慰安婦だった」と名乗り出た女性の記事を書いたことで知られるが、女子挺身隊と慰安婦を混同したことなどで批判を受けている。一方、慰安婦報道をめぐっては、「済州島で、朝鮮人の女性を慰安婦にするために強制連行した」と証言した故・吉田清治氏の記事について、朝日新聞が昨年、誤報だったと認め、謝罪した。
朝日新聞が取り消した「慰安婦狩り」に関する記事は、1982年から1994年にかけて掲載されたものだ。ちょうど、植村氏が慰安婦の記事を書いた時期と重なることもあり、あわせて論じられることが多い。
●「吉田証言のあとに取材を始めた世代」
今回の会見でも、フリーランスの記者から「吉田証言の報道が反日気運をあおったといえる。吉田証言については何本、記事を書いたのか」という質問が出た。
しかし、植村氏の答えは「吉田証言の記事ですが、私は1本も書いていません」というものだった。「私は、吉田清治証言の取材はしていなくて、そのあとに、慰安婦のおばあさんに直接、取材を始めた世代です」と説明した。
そのうえで、「本屋に朝日バッシングの本があるが、そのなかには『吉田証言の記事をたくさん書いた植村記者』という表現がある。こういうのこそ、『捏造』というのではないかと思います」と語った。
また、「私が書いた金学順さん(慰安婦と名乗り出た韓国人女性)の記事(1991年8月11日掲載)は、当時のことを調べたら、韓国でまったく報道されていなかった。私が反日気運をあおったといわれても、あおっていません」と強調していた。
会見動画はこちら。
https://www.youtube.com/watch?v=fPpV-oxDLsU