人気ドラマの過激な暴力描写に、放送倫理の専門家から懸念の声があがった。
NHKと民放でつくる第三者機関「放送倫理・番組向上機構」(BPO)の青少年委員会は、9月29日に開いた委員会で、国の秘密組織の構成員たちの活躍を描く連続ドラマ(第2シーズン)について、視聴者から寄せられた意見を取り上げた。
銃撃や拷問などの過激なシーンについて、委員からも「不適切と感じる部分があった」「初回シーズンより過激な演出が多い」といった声があがった。
番組名は明らかにされていないが、内容などから、堺雅人さん主演のTBS系日曜劇場「VIVANT」(毎週日曜午後9時)の続編とみられる。
BPOは委員会の議事録を10月15日までに公式サイトで公表した。
●「子どもの成育に悪影響があるだろう」
委員会では、7月後半から9月前半までの2カ月間に寄せられた視聴者意見について、担当委員が報告した。
このドラマについては、「午後9時からの放送であり、社会的な影響を考えてほしい。子どもの成育に悪影響があるだろう」といった意見が寄せられたという。
担当委員は、実際に番組を視聴したうえで、次のように述べた。
「銃撃されて血が飛び散ったり、暴力を受けた側の顔面の特殊メークが誇張されたりしていて、より残酷に見えたと思う。私も不適切と感じる部分があって改善を望みたい」
そのうえで、委員会としての対応については、中断されていた放送が再開される10月以降の状況を見て判断すべきだとの考えを示した。
別の委員も「(2023年放送の)初回シーズンより、今作のほうが過激な演出が多いなと思って視聴した。視聴者意見が初回より多く寄せられるのは、そのためかと思う」と述べた。
●「事前に告知する選択肢があってもよかった」
さらに別の委員は、日本民間放送連盟(民放連)の放送基準を引き合いに出し、視聴者への事前告知の必要性に言及した。
放送基準18条の「解説」には、次のような記述がある。
「午後9時以降の劇場用映画やドラマなどにおいても保護者による児童・青少年への配慮が必要であると各放送事業者が判断した場合、番組の冒頭での事前表示や他の有効な方法による事前表示を行うこととする」
この委員は「本件のドラマでも制作者側が事前に告知をするという選択肢があってもよかったのではないか。そうでないと、過去の経験や知見が生かせないことになる」と指摘した。
ただし、今回の委員会では、このドラマを含め、正式な「討論」に進んだ番組はなかった。
●放送再開後は注意喚起のテロップも
「VIVANT」の続編は、9月20日と27日の2週にわたり、「アジア大会 愛知・名古屋」の中継のため休止。10月4日から再開した。
ある視聴者によると、最近の放送では、冒頭に暴力的な描写への注意を促すテロップが表示されているという。この視聴者は、暴力描写について次のように語った。
「拉致された人物がナイフでお腹を刺され、血が流れるシーンがありましたが、影を映して、刺す場面が直接映らないように配慮している感じでした。でも、Netflixの他の作品に比べたら、エグさは少ないと思います」
また、別の視聴者は「シリーズ1で主人公が豹変するシーンのほうがびっくりした」と話すなど、暴力描写の受け止め方には違いもみられた。