司法試験の合格発表で、掲示板に張り出された受験番号を探し、喜びを爆発させる受験生たち──。そんな光景が今年は見られない。
法務省は、11月11日に予定されている司法試験の合格発表について、同省前や各試験地での掲示をおこなわないと発表した。
同省が10月14日、公式Xで告知すると、弁護士や法曹関係者とみられるアカウントから「寂しい」「情緒がない」といった反応が相次いだ。
合格発表の場で繰り広げられてきた悲喜こもごもを懐かしむ声も上がっている。
●コロナ禍で一時休止、2023年に「復活」したばかり
司法試験の合格発表をめぐっては、新型コロナウイルスの感染拡大を受け、2020年から3年連続で掲示板での発表が見送られていた。
2023年に復活すると、法務省前には多くの受験生が詰め掛けた。そこには、合格を喜ぶ教え子たちと抱き合う伊藤真氏の姿もあった。司法試験などの受験指導をおこなう「伊藤塾」の塾長だ。
しかし、復活からわずか3年。今年は再び掲示板での発表がおこなわれないことになった。
●44年間、合格発表を見守ってきた伊藤氏「心情的には寂しい」
今回の決定を伊藤氏はどう受け止めたのか。伊藤氏は弁護士ドットコムの取材に次のようにコメントした。
「試験そのものもCBTとなり、全国のCBT会場に分散して行われるようになったため、応援活動もしづらくなってしまいました。とうとう発表までネット空間で行われるということですね。
リアルの場がどんどんなくなっていくのは、合理的で時代の流れなのだと思いますが、44年間、毎年、試験会場と発表会場に駆けつけて激励していた自分としては、心情的には寂しいです。
PCやスマホの発表画面に向き合っている受験生一人ひとりの喜び、落胆をしっかりと受け止めて、これからもエールを送り続けていきます。
たとえ、試験や仕事がどれだけ、ネット空間に移行したとしても、法律家の仕事は生身の人間を相手にしているという原点を忘れないようにしたいと思っています」
●掲示板での発表を取りやめた理由は?
今年、掲示を見送った理由について法務省の担当者は「今年から試験のCBT化や出願の電子申請などデジタル化を進め、発表の仕方もその一環として見直した結果です。来年以降のことは決まっておらず、少なくとも今年は掲示なしでやってみることになりました」と回答している。
(10月15日午後1時50分、法務省の回答を追記しました)