福島第一原発所長だった吉田昌郎氏が、政府の原発事故調査委員会に答えた「吉田調書」の報道をめぐり、朝日新聞社は9月11日夜に緊急記者会見を開いた。木村伊量社長は、同社が独自に入手した「吉田調書」をもとに、「福島第一原発の所員の9割が吉田氏の待機命令に違反して、福島第二原発に避難した」と報じたのは誤りだったと謝罪した。
木村社長は記者会見の冒頭、次のように述べて、深々と頭を下げた。
「朝日新聞は、東京電力福島第一原発事故の政府事故調査委員会が作成した、いわゆる吉田調書を政府が非公開としていた段階で、独自に入手いたしまして、今年5月20日付朝刊で、第一報を報じました。
その内容は、東日本大震災4日後の2011年3月15日朝、福島第一原発にいた東電社員らの9割にあたるおよそ650人が吉田所長の待機命令に違反し、10キロ南の福島第二原発に撤退をしたというものでありました。吉田所長の発言を紹介して、過酷な事故の教訓を引き出し、政府に全文公開を求める内容でありました。
しかし、その後の社内での精査の結果、吉田調書を読み解く過程で、評価を誤り、『命令違反で撤退』という表現を使った結果、多くの東電社員らが、その場から逃げ出したかのような印象を与える間違った記事だと判断いたしました。
『命令違反で撤退』の表現を取り消すとともに、読者および東電のみなさまに深くお詫びを申し上げます」
動画はこちら。
https://www.youtube.com/watch?v=iErLt6h5ujk