キャッシュカードの暗証番号を「1173(いい波)」にしているサーファーは、すぐに番号を変えたほうがいいかもしれない。報道によると、車上荒らしの容疑で逮捕され、有罪判決を受けた20代の男性3人が、こうした番号を入力して、盗んだキャッシュカードで現金を引き出していたことがわかったのだ。
3人を逮捕し、裏付け捜査をした千葉県警は8月、この3人が千葉の海岸沿いで海水浴客を狙って車上荒らしを繰り返していたと発表した。3人は「サーファーの暗証番号は語呂合わせで『1173』が多かった」と供述したそうだ。
盗難カードでお金を引き出された場合、銀行の補償があると聞く。しかし、今回のように、カードの持ち主が、予測可能な番号を設定していたら、「自己責任」ということで、補償額が減らされたりするのだろうか。岡田崇弁護士に聞いた。
●預金者に「過失」があったかがポイント
「盗まれたキャッシュカードで、口座からお金を引き出された場合、原則として、銀行に損害を補償してもらうことができると、預金者保護法で決まっています。
ただし、もし『預金者に過失があった』と銀行に証明されれば、補填の額が25%減額されます。
また、『重過失』が証明された場合、全く補填されません」
つまり、預金者に落ち度があれば25%減額、さらに重大な落ち度があれば補償なしということだが、この場合の「過失」と「重過失」は、具体的にはどんなイメージなのだろうか?
「たとえば、『過失』は、キャッシュカードと一緒に携行・保管していたメモに、容易に第三者が認知できるような形で暗証番号が書かれていた場合などが挙げられます。
一方で、『重過失』は、暗証番号をキャッシュカード上に書き記していたような場合ですね」
●ありがちな暗証番号は「過失」なのか?
では「1173」のように、予測されやすい暗証番号を設定したら、過失になるだろうか?
「1173という番号を使うサーファーが多いということですが、それぐらいなら、せいぜい暗証番号の推測がある程度できるというだけです。ありがちな番号設定だからといって、ただちに預金者に過失があったとまではいえません」
では、預金は補償される、ということになる?
「常にそうとも限りません。たとえば、サーフボードを積んだ車のナンバープレートが1173で、さらにキャッシュカードを漫然と車内に放置していて、その暗証番号も1173で・・・といった場合なら、容易に暗証番号を推測できるとして、預金者の過失が認められる可能性も出てくるでしょう」
岡田弁護士はこう指摘していた。こうしたリスクを減らすため、暗証番号は、簡単に推測されないようなものにしておいたほうがよさそうだ。