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 無許可で接待、「バーレスク東京」経営者を逮捕 アウトになる線引きは? 風営法に詳しい弁護士が解説
BURLESQUE TOKYO(2024年2月21日、弁護士ドットコムニュース撮影)

無許可で接待、「バーレスク東京」経営者を逮捕 アウトになる線引きは? 風営法に詳しい弁護士が解説

東京・六本木のショークラブ「BURLESQUE TOKYO(バーレスク東京)」を経営する男性が無許可で従業員に客への接待をさせたとして、風営法違反の疑いで2月21日、愛知県警に逮捕された。

バーレスク東京のホームページや報道によると、店では酒を飲みながら女性ダンサーによるショーを楽しめるようになっていたが、風俗営業の許可を得ずに従業員のダンサーたちがステージで客に酒を飲ませるなどの接待行為をしていた疑いがあるという。

店側は21日、「全社をあげて信頼回復に向けて全力で取り組んで参ります」とコメント。翌22日には「関係行政機関や専門家に相談のもと特定遊興飲食店営業の範囲での営業を遵守して参ります」として、同日より営業を始めると発表した。

今回、何が問題になったのか。風営法に詳しい若林翔弁護士に聞いた。

●風営法の許可はあったが「1号営業」ではないので「接待」は認められなかった

——メディアでも取り上げられる話題店だったこともあり、今回の逮捕についてネットでも話題になっています。何が問題だったのでしょうか

ネット上には「風営法の許可をとっていない」「過激だから逮捕された」などという声もあるようですが、バーレスク東京は風営法の「特定遊興飲食店営業」の許可をとっており、過激だから摘発されたわけではありません。

ただサービスの内容は「特定遊興飲食店営業」では認められず、本来であれば風営法第2条第1項第1号、略して「1号営業」の許可が必要な「接待」をしていたことから、逮捕に至ったのでしょう。

無許可で接待した場合、2年以下の懲役又は200万円以下の罰金に処せられる可能性があります。

——問題となった「接待」とは何なのでしょうか

風営法でいう「接待」とは、歓楽的雰囲気を醸し出す方法により客をもてなすことをいいます。「1号営業」の許可が必要な代表的な業種として、キャバクラやホストクラブがあります。

警察庁の通達である風営法解釈運用基準では、大きく3つの解釈基準を示しています。

(1)客がキャストとの会話やサービスを期待して来店すること (2)特定の客や特定のグループ客に対する会話やサービスが提供されること (3)キャストが積極的に会話やサービスを提供すること

バーレスク東京の場合については、特定遊興飲食店営業の許可を得ていたので、「遊興」はできるが「接待」はできないという状況でした。「遊興」は不特定の客に対する行為で、「接待」は特定の客に対する行為という点が相違点です。

今回は、不特定の客に対してショーを見せるなどの「遊興」の範囲を超えて、特定の客に対して会話や身体接触等の「接待」をしたことから無許可営業として摘発されました。

バーレスク東京でどのようなサービスがあったか詳細は不明ですが、不特定の客に対して、ショーを見せたり、挨拶や世間話をするなどの行為は「遊興」となり問題ありませんが、特定の客に対して手を握ったり、手を膝や腰においたりする行為は「接待」にあたり禁じられています。

●全てが摘発されているわけではないが……

——無許可の接待行為が全て摘発されているわけではないと思います。摘発されるケースはどういった背景があると考えられるのでしょうか

摘発される店の傾向として、一般論として、以下の傾向があります。

・暴力団等の資金源になっている ・警察から注意をされても改善されなかった ・キャスト・客、近隣住民等とのトラブルがあった

などです。今回のきっかけはわかりませんが、風営法の必要な許可、「接待」と「遊興」の解釈は難しいものです。ナイトビジネスを始める際には、風営法をしっかり確認してください。

プロフィール

若林 翔
若林 翔(わかばやし しょう)弁護士 弁護士法人グラディアトル法律事務所
顧問弁護士として、風俗、キャバクラ、ホストクラブ等、ナイトビジネス経営者の健全化に助力している。また、店鋪のM&A、刑事事件対応、本番強要や盗撮などの客とのトラブル対応、労働問題等の女性キャストや男性従業員とのトラブル対応等、ナイトビジネスに関わる法務に精通している。

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