高額な売掛(借金)を女性に背負わせるなどして、社会問題化している悪質ホスト問題。震源地となっている新宿・歌舞伎町のホストクラブが12月5日、地域全体で来年4月に売掛をなくす方針を示した。ほかにも、20歳未満の入店禁止や、売掛をホストと女性の個人間でなく店舗管理とする営業転換も明らかにした。(ジャーナリスト・富岡悠希)
●4月から「売掛」終了、20歳未満の入店禁止へ
新宿区役所で同日午後、吉住健一同区長らと、ホストクラブ代表の連絡会が開催された。その冒頭、メディアが入った公開の場で、歌舞伎町のホストクラブ最大手の代表が新指針について話した。
悪質ホスト問題では、女性が数百万円に達する高額な売掛を背負い、風俗勤務に仕向けられるなどしているため、強い批判の声が上がり、国会でも対策法案が提出された。
ホストクラブの代表は「すでに発生している高額な売掛については、行政機関と連携し真摯に対応」すると表明。売掛は「店舗管理とし、ホストとお客様の個人間での貸し借りをなくす」とした。
さらに「高額な売掛を発生させないために、来年より支払い時の入金率を段階的に調整する」という。
具体的には、入金率を1月は70%、2月は80%、3月は90%として、「最終的には4月には100%とし、売掛をなくす方針を採用したい」とした。同時に「20歳未満の入店を禁止し、20歳を超えても学生や生徒には高額な請求にならないようにする」。
●「トクリュウとの関係も断絶する」
また、代表は「匿名・流動型犯罪グループ」(トクリュウ)とホストクラブが関係あることを認めたうえで、次のように述べた。
「高額な支払いをするために、過酷な勤務を斡旋するなどのトクリュウと言われる反社会勢力との関係を断絶する」
●冒頭に「深くお詫び申し上げると共に真摯な反省を表明します」
代表は冒頭、「最近の報道に取り上げられました不適切な出来事につきましては、深くお詫び申し上げると共に真摯な反省を表明します」と謝罪したあと、上記の方針を表明した。
この方針をホストクラブ間で話し合うと共に、業界団体を立ち上げていくとした。
●支援団体代表「来年4月ではなく1日も早くやめるべき」
被害者の親らの支援にあたっている「青少年を守る父母の連絡協議会」(略称:青母連/せいぼれん)代表の玄秀盛さんは同日、記者会見を開いた。
ホストクラブ代表が打ち出した新方針について、玄さんは「被害者家族に直に謝罪することからスタートすべきだし、売掛禁止なども来年4月ではなく1日も早くやめるべき」と厳しい見方を示した。
また、この会見に参加していた、娘がホストにハマったという母親も発言。大学1年生の娘は「(将来)結婚しよう」「一緒にカフェをやろう」というホストの言葉を信じて、キャバクラ勤務をして貢ぎ続けているという。
「売掛が少なくなろうが、(好意の感情を不当に利用した)『デート商法』をやめてもらわない限り難しい。(店の)外で会って、(お金を)また取られてしまうとの危惧がある」(母親)