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統一教会2世が危惧する「解散後の未来」 終わりじゃなく始まり、現役信者の子どもを救う方法
東京都渋谷区松濤にある世界平和統一家庭連合(旧統一教会)の本部

統一教会2世が危惧する「解散後の未来」 終わりじゃなく始まり、現役信者の子どもを救う方法

高額献金問題などが取り沙汰されている世界平和統一家庭連合(旧統一教会)について、政府が10月中旬にも解散命令請求を出すのではないかと報じられている。

元2世信者の30代男性は、解散を望んできたものの、その後の未来についての懸念がぬぐえずにいる。宗教法人から宗教団体になったとしても、高齢の両親を含め現役信者は残るからだ。特に、次の世代である子どもたちのことが気がかりだという。

「いまも教会には、乳幼児から小中高生までいます。解散で教会がさらに孤立したら、子どもたちは学校や社会でますます疎外感を持つのではないでしょうか」

好きな人を好きと言えない。進学ができない…教義に縛られ、不自由だった過去を振り返り、同じような思いをする子どもが相談できる場所が必要だと訴える。

●人を好きになることも許されなかった

男性は合同結婚式で現在の妻と結婚、子どもが3人いる。地元の教会に所属し活動してきたが、第一子ができたころから教義に疑問を感じ、現在はほぼ脱会状態だ。

親が献金にいそしんだ家庭は貧しかった。自身の幼少期をこう振り返る。

「外食も旅行もほとんどなし。持ち物はすべてお下がり。古いリコーダーは恥ずかしかった。みんなと違うということを分かってきて、傷ついていくんです」

小さい頃から植え付けられた教義は、自身の意思に反して、深く入り込んでいた。神かサタン(悪)か。善悪がはっきりした教義は、行動や考えを制限する。自由を否定され続けた。

「ある人を好きだと思っても、サタンが入り込んできたと打ち消さなければなりませんでした。正直、結婚した妻を好きになったことはありません。彼女もそうだと思います」

画像タイトル つらかった幼少期を振り返る男性(2023年9月)

●同じ思いをする子どもが一人でも減るように

割り切れない思いを抱えながらも、緩やかな信仰生活は続いた。しかし、子どもが育っていくとともに「信仰の強制は虐待。自分のような思いをさせたくない」との考えが強まった。

「遊園地に連れて行ったり、クリスマスプレゼントを枕元に置いたり。こんな子ども時代を過ごしたかったということを努めてしています。過去の自分を慰めるという感じです」

そして2022年、安倍元首相銃撃事件が起きた。自身の経験を発信したり、かつての情報網を使ったりして、教会の現状を世に訴えてきた。

「最初は教会の自浄能力に期待しましたが、変わる気配が見られない。現役信者のグループLINEで、小さい子たちの写真を見ると心が痛みます。避妊できないので、多産になりがちです。子どもが並んで教義を習う姿も。信じる自由、信じない自由がある。虐待を繰り返さないでほしいと強く願います」  

解散になれば、この子たちは一層孤立するのではないかと懸念している。

「そもそも1世が信者になったのは、生きづらさを抱えて救いを求めた結果、頼れたのが統一教会だけだったということ。今回のことを受けて社会が子どもを救えなければ、これからも同じです。特に学校や先生の役割が重要だと思います」

10月に解散命令請求がされたとしても、裁判所が判断するまで半年から2年かかるとの見通しもある。男性はこの間に、宗教虐待に悩む子どもにリーチする仕組みをつくることが急務だと訴え、活動を続ける。

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