映画を10分程度の長さに編集した「ファスト映画」を無断アップロードされたとして、東宝や日活など映像大手13社が男女3人を相手取り、損害賠償計5億円をもとめた訴訟で、東京地裁は8月24日、所在のわからなかった男性1人に対して、請求通り計5億円の賠償を命じた。
原告などが加盟する一般社団法人「コンテンツ海外流通促進機構」(CODA)が同日、明らかにした。この訴訟をめぐっては、所在がわかっていなかった1人を分けて、先に2人に対して、東京地裁が2022年11月、原告の主張を全面的に認めた同様の判決を言い渡していた。
●「逃げ得は許さないという機運の醸成の一助となる」
残る1人については、海外に出国して訴状が未送達というかたちとなっていた。そのため、原告側は今年5月、相手の所在がわからない場合でも訴状が到達したとみなされる「公示送達」を申し立てていた。
今回の判決を受けて、CODAは「海外に滞在していると思われる所在不明者であっても、逃げ得は許さないという機運の醸成の一助となるものと期待しています。また、一連の判決は、ファスト映画による権利者への損害額を明確に認定することで著作権侵害への大きな抑止力となる、大変画期的な判決であると受け止めております」とコメントしている。
今回の民事訴訟の被告となった3人は2021年6月、東宝や日活などが著作権を有する作品の「ファスト映画」をYouTubeにアップロードして広告収益をあげたとして、著作権法違反の疑いで宮城県警に逮捕されて、同年7月に起訴された。同年12月に有罪判決が確定していた。