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店を出禁にしたはずの「大騒ぎ迷惑客」がまた来た! 警察への通報は効果的?
写真はイメージです(EKAKI / PIXTA)

店を出禁にしたはずの「大騒ぎ迷惑客」がまた来た! 警察への通報は効果的?

飲食店で「どんちゃん騒ぎ」をする客に出入り禁止を通告したにもかかわらず、何度も来店されて大迷惑ーー。こんな悩みを抱える飲食店関係者から、警察を動かすにはどうしたらいいのか、悩みを打ち明ける相談が弁護士ドットコムに寄せられました。

この相談者は、迷惑客に対して、今後二度と店に立ち入らないことと、サービスを提供しないことを告げているため、建造物侵入や業務妨害などの罪にあたるのではないかと考えているそうです。

実際、警察に通報しているが、逮捕などには至っていないということです。実際に、どんな犯罪にあたる可能性があるのでしょうか。島田直行弁護士に聞きました。

●不退去罪や威力業務妨害罪、強要罪などが考えられる

「飲食店は、拒否理由が不合理なものでない限り、店舗への立ち入りの可否を決定することができます。そのため店舗としては、過去に『どんちゃん騒ぎ』などの迷惑行為を行った客に対して入店を拒否することも基本的に可能です」

今回、警察に通報をしていますが、どんな犯罪にあたる可能性があるのでしょうか。

「店舗の要請に反して無理に入店しようとする行為は、犯罪行為に該当するときもあります。退去を求めても退去しない場合(不退去罪 刑法130条)や声を荒げて業務を妨害するような場合(威力業務妨害罪 同234条)などがわかりやすいでしょう。さらに店員に謝罪などを強要する場合(強要罪 同223条)も想定されます。客が店舗で迷惑行為に及んだときは、必要に応じて警察の協力を要請するべきです」

警察に通報しても簡単には逮捕などには至らないのではないでしょうか。

「確かに『警察が逮捕してくれなかった』という相談を受けることもあります。ですが店舗としてなにより大事なことは、『逮捕してもらう』ことではなく『場を収めてもらう』ことです。

警察を呼んで、まず現場から退去してもらうだけでも目の前の問題は解決します。たいていはいちど警察を呼ばれると再び来店することもありません。それでも来店して同じように業務を妨害するのであれば、同じく警察を呼んで対処してもらうことになります。繰り返すことで逮捕される可能性は高くなるでしょう」

●事前に警察に相談しておくことも効果的

普段から心がけておくことはありますか。

「具体的なトラブルが発生する前に『こういう人の対応に苦慮している』と警察に相談しておくのも効果的です。事前に情報を警察と共有しておくことで『いざ』というときの対応がしやすくなります。

こういった警察への協力要請について風評被害を懸念される方も少なくありません。『警察を呼んだら店のことに関してネットで悪評を記載されるのではないか』という不安です。

ですが警察の協力を得ることでむしろ根拠のない記載に対する抑止力にもなるのではないかと考えています。風評被害を恐れるあまり曖昧な対応を取ると、かえって他のお客様からの信用を失うことにもなりかねません。

店員やお客様にとって安心できる楽しい場を作りあげるためには、毅然とした姿勢をもつことが重要です」

プロフィール

島田 直行
島田 直行(しまだ なおゆき)弁護士 島田法律事務所
山口県下関市生まれ、京都大学法学部卒、山口県弁護士会所属。著書に『社長、辞めた社員から内容証明が届いています』、『社長、クレーマーから「誠意を見せろ」と電話がきています』『社長、その事業承継のプランでは、会社がつぶれます』(いずれもプレジデント社)、『院長、クレーマー&問題職員で悩んでいませんか?』(日本法令)

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