ジャニーズ事務所の創業者、ジャニー喜多川氏(享年87)による「性加害問題」を受けて、ジャニーズ事務所問題再発防止特別チームは6月12日、都内のホテルで記者会見を開いた。
座長をつとめる元検事総長の林眞琴弁護士は「被害者に寄り添って直接お話を伺い、過去にジャニーズ事務所の対応にどのような問題があったのか検証する。被害者とジャニーズ現役幹部へのヒアリングもおこなう」と語った。
特別チームは5月26日に結成されて、林弁護士のほか、精神科医の飛鳥井望氏、性暴力被害者支援をおこなっている臨床心理の研究者ら合計3人で構成される。いずれもジャニーズ事務所とは無関係だとしている。
林弁護士によると、今後、検証結果をもとに再発防止のための提言をおこない、実行を求めていくという。検証や提言についての期限は設けていない。
●「被害者の心の回復なくして、事務所の信頼回復はあり得ない」
この日の記者会見で、林弁護士は、これまでの経緯を説明した。林弁護士によると、特別チームは今年5月29日に第1回会合を開いて、ジャニーズ事務所に対して資料の提供を申し入れ、ヒアリング対象となる被害者の選定などに着手したという。
林弁護士は特別チームの目的を次のように語った。
「独立した第三者として、過去の対応にどのような問題があったのか検証し、結果を踏まえて、再発防止策を提言するものです。
今回、私たちが解明、検証するのは、ジャニーズ事務所で性暴力が頻発していたのか、ジャニーズ事務所のガバナンスや組織の風土にどのような問題があったのかです。協力していただける方に直接話を聞いて検証したい」
そのうえで、網羅的に調査することや被害の刑事手続きをおこなうことは否定した。
飛鳥井氏は、ジャニー喜多川氏による性暴力疑惑について「大変、深刻な問題です」と指摘し、次のように語った。
「立場の強いものが、立場を利用して弱いものに性暴力を繰り返しおこなう。防ぐことは大変難しいのですが、ガバナンスの改善によってどうやって防げるのか、このチームで考えていかなければならないと思います。被害者の心の回復なくして、ジャニーズ事務所の信用回復はあり得ないです」
ジャニーズ事務所側はこれまで、ジャニー喜多川氏の性加害について、事務所やジュリー社長は「知らなかった」としてる。林弁護士は、これについて次のように述べた。
「前提となる事実認定は特別チームでおこなえると思っています。事務所側がその事実を仮に認めなかったとしても、私たちに事実認定が左右されるものではなく、これを踏まえて、提言をしたいと思っています。その提言を受け入れるかどうかは、事務所側の判断になると思います」