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「原子力ムラからバッシングが起きている」 大飯原発訴訟の原告弁護団が記者会見
大飯原発差し止め訴訟原告弁護団の島田広弁護士(左)と笠原一浩弁護士

「原子力ムラからバッシングが起きている」 大飯原発訴訟の原告弁護団が記者会見

関西電力が再稼働を目指す福井県おおい町の大飯原発。福井地裁は5月下旬、その3号機と4号機について運転再開を認めない判決を下し、大きな注目を集めた。被告の関西電力が控訴したことで、裁判は第2ラウンドに入ったが、原告側は、地裁判決の意義をどう考えているのか。弁護団が6月3日、東京・有楽町の外国特派員協会で記者会見を開き、海外メディアに向けて見解を述べた。

●「モンテスキューの三権分立の理念が形になった」

弁護団の事務局長をつとめる笠原一浩弁護士は、フランス革命などに影響を与えたとされる政治思想家・モンテスキューの言葉を引用しながら、次のように語った。

「モンテスキューは『法の精神』で立法、行政、司法が一つの権力に握られるのであれば、すべてが失われてしまうだろうと警告していた。もし行政の見解に裁判所が従わなければならないのであれば、憲法で定められた三権分立が失われてしまう。この美しい判決は、自らが裁判官であったモンテスキューの理念が形になったといえる」

また、島田広弁護士は「福島の原発事故は司法にも反省をもたらした」「行政を追認してきた、これまでの裁判所の姿勢との決別を意味している」と述べ、今回の判決の歴史的な意義を評価した。

ただし、今回は一審判決であり、関電は名古屋高裁金沢支部に控訴している。控訴審について、島田弁護士は「すでに一審判決へのバッシングが原子力ムラから起きている。こういう圧力に裁判所が屈することが懸念される。控訴審中に行政(原子力規制委員会)の安全審査の結果が出たとき、司法がどうするのかが問われている」と指摘した。

また、関電は、控訴審の判決前であっても、政府の了承が得られれば、再稼働に踏み切る可能性があることを示唆している。このような動きについて、笠原弁護士は「弁護団として正式に決定してはいないが、再稼働を進めるというのであれば、それを防ぐ方法の1つとして、裁判所に仮処分を申し立てることも有力な方法と考えている」と述べ、対抗手段の可能性に言及した。

●「高裁でも、差止め判決が早く出ることを期待」

このほかの主なやり取りは以下の通り。

――過去の原発訴訟で勝訴したケースとの比較は?

島田 「私は、もんじゅ訴訟にも関わってきた。もんじゅは、高速増殖炉という危険性の高い原子炉だ。しかも、裁判中に冷却剤のナトリウム漏れがあって、深刻な火災事故を起こした。その結果、名古屋高裁金沢支部で差し止めが認められたが、最高裁がひっくり返した。高裁判決直後に原子力村からのバッシングがあった。そのときと比べると、原発事故の影響で、バッシングの勢いは明らかに弱まっている」

――高裁の判決はいつごろ出るのか?

島田 「予測は非常に困難。地裁の判決がこれほど早く出るのも、異例だった。裁判官が『なんとしても原発再稼働を考え直してもらいたい』という国民の期待に答えたものだ。国民の期待に答えようとする裁判官が生まれている。高裁でも、差し止め判決が早く出ることを期待している」

――今回の地裁判決が出ているのに、再稼働することは可能なのか?

笠原 「確かに判決が確定するまで、厳密な意味での強制力はない。しかし、判決の存在にも関わらず再稼働するのであれば、市民から大変な批判を受けることが予想される。政府もこうした批判を無視することはできないだろう」

(弁護士ドットコムニュース)

この記事は、公開日時点の情報や法律に基づいています。

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