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他人が頼んだ回転寿司に「わさび」を勝手につける動画がSNSで拡散 法的責任どうなる?
はま寿司(1月24日、都内、弁護士ドットコムニュース撮影)

他人が頼んだ回転寿司に「わさび」を勝手につける動画がSNSで拡散 法的責任どうなる?

回転寿司チェーン「はま寿司」でレーンを移動中の「他人のすし」を横取りして食べる様子を見せた動画がこのほどネットで話題となったが、嫌がらせの手口はこれだけではないようだ。

他人が注文したとみられるすしが回転レーンを通過している際に、注文者以外の客がわさびを付けるという行為を映した動画がSNSなどで拡散されている。動画には「他人握りわさび乗せ」とテキスト文が表示されていた。

画像タイトル SNSで拡散されている動画(編集部で一部加工)

皿の上にあるすしにわさびをスプーンで乗せようとするものの、速いスピードのレーンで運ばれているからか、わさびがすしにうまく乗らず皿へ落下した。注文した客にとっては迷惑この上なく、万が一わさびの苦手な人が誤って口にすれば大騒ぎになりかねない悪質な行為だ。

このすしが注文した客の口に入ったのか、再度注文する羽目になったのかなど最終的にどうなったかは不明だが、このような行為にはどのような法的責任が発生するだろうか。濵門俊也弁護士に聞いた。

●「さび抜き」提供を台無しにする行為

——他人のすしの横取りだけでなく、わさびを勝手に付けるという悪質な行為が話題となっています。

昨今、多くの回転寿司店がすべての寿司を「さび抜き」で提供していることをご存じでしょうか。

その一つの理由が、様々な客のニーズに応えるというものです。すべてさび抜きで提供した上で、苦手な人はそのまま食べ、好きな人はテーブル備え付けのわさびを好みの量付けて食べられるようにしているのでしょう。

そういったわさびの提供方法を実施しているにもかかわらず、回転レーンの通過中に、注文者以外の客がわさびを勝手に付けるなどという行為をすれば、わざびを望まない客からすれば迷惑極まりないものですし、お店に対する信頼も害されるおそれも生じます。

「他人注文のすし」を食べる動画を含む悪質行為について、はま寿司の担当者が以前の取材で、「会社として到底容認できない。模倣されることによって、ビジネスモデル自体が揺れ動いてしまうもので、非常に重く受け止めている」「毒性の高いものが混入される可能性もないわけではない。ひどければ殺人につながるものもありえる」と答えていたようですが、決して大げさではないと思います。

(参考)回転寿司で「他人注文のすし」食う動画拡散…はま寿司は警察に相談「到底容認できない」
https://www.bengo4.com/c_1009/n_15520/

●業務妨害罪などが成立しうる

——法的責任はどうなるでしょうか。

まず、刑事責任についてですが、他人の注文した皿のすしにわさびを乗せる行為は、注文客あるいは店側に対する器物損壊罪(刑法261条)が成立し得ますし、わさび入りのすしを意図せず食べてしまった客が体調を崩すようなことがあれば傷害罪(刑法204条)も成立し得ます。また、店舗に対しては、偽計業務妨害罪(刑法233条)が成立し得ます。

民事責任についても、わさびを乗せる行為は故意によるもののはずですから、これにより客や店側に生じた財産的損害については、基本的に全額、不法行為に基づく損害賠償責任(民法709条)を負うことになるでしょう。

この記事は、公開日時点の情報や法律に基づいています。

プロフィール

濵門 俊也
濵門 俊也(はまかど としや)弁護士 東京新生法律事務所
当職は、当たり前のことを当たり前のように処理できる基本に忠実な力、すなわち「基本力(きほんちから)」こそ、法曹に求められる最も重要な力だと考えております。依頼者の「義」にお応えします。

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