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休日に「飲酒運転」で職場に来る部下 会社や上司が使用者責任に問われる可能性は?
(Yokohama Photo Base / PIXTA)

休日に「飲酒運転」で職場に来る部下 会社や上司が使用者責任に問われる可能性は?

部下が休日に飲酒運転をしている——。小売店に勤める男性が弁護士ドットコムに相談を寄せました。

●【相談】部下「酒を飲んで買い物に来た」

休日に部下のパート従業員が、職場に飲酒運転でアルコールを買いにきます。自分が着任する前から何年もしており、たびたび従業員の間で話題になっていたようです。

ある日、本人から直接「酒を飲んで買い物に来た」と言われました。危険だと思い警察に通報しようとしたところ、上司から「警察はまずい」と止められ、その日は上司が家まで送り届けました。プライベートな時間での出来事ということで、口頭注意で終わりました。

部下は今でも飲酒運転をしているようなのですが、今後人身事故を起こした場合は、会社や上司である私も使用者責任を問われるのでしょうか。

●【回答・森田梨沙弁護士】

使用者責任というのは、例えば、従業員が会社の業務の最中に誤って第三者を傷つけてしまった場合、会社も損害賠償をしなければならない、というものです。

民法715条1項には、使用者責任が成立するための要件がいくつか定められています。中でも争点になりやすいのは、従業員の行為が「事業の執行について」なされたものであるかどうかです。

これが認められる分かりやすい例としては、運送会社の従業員が、配送業務中に事故を起こした場合、などが挙げられます。

●今回のケースでは?

プライベートな時間での飲酒運転ということですので、基本的には「事業の執行について」なされたものとは言えず、会社は使用者責任を負わないという結論になるものと思われます。

また、上司の使用者責任についても結論は同じです。

もし仮に業務中の事故だったとしても、そもそもその上司が、会社に代わって事故を起こした部下を選任監督するような立場にある場合でなければ、上司個人が使用者責任を問われることはありません(民法第715条第2項)。これが認められるのは限定的なケースになります。

とはいえ、飲酒運転の社会的影響に鑑みれば、従業員が起こした飲酒事故を「使用者責任が生じるケースではないから」といって知らぬ存ぜぬで通せるような時代ではありません。会社は常日頃から従業員教育を行うなどのしっかりした防止策をとっておくことが重要です。

この記事は、公開日時点の情報や法律に基づいています。

プロフィール

森田 梨沙
森田 梨沙(もりた りさ)弁護士 共進総合法律事務所
中小企業法務、労働案件、一般民事(交通事故、不動産、離婚事件他)など幅広く手掛ける。事案の早期解決及び予防法務の観点から、依頼者と密なコミュニケーションをとることを常に心がけている。趣味はキックボクシング。

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