日本弁護士連合会(日弁連)は4月15日、技能実習制度の廃止と特定技能制度の改革に関する意見書を公表した。同25日付けで、内閣総理大臣、出入国在留管理庁長官、衆参両院議長などに提出した。
日本に在留する外国人が「技能実習」の在留資格で報酬のある実習をおこなう「技能実習制度」は、職場移転を制限する制度構造が悪質な人権侵害の温床となっていると指摘。送り出し機関による保証金や規定を超える高額手数料の徴収など、来日前に高額な借金を作って来日している実態があるとして、直ちに廃止すべきとしている。
特定分野の専門知識や優れた技能を有する外国人が「特定技能1号・2号」の在留資格で業務に従事する「特定技能制度」については、実質的には非熟練労働者の受け入れが目的であることを正面から認め、職場移転の自由を認める制度だと評価する。
もっとも、「特定技能1号」では、在留期間の上限(通算5年まで)があることや家族帯同の禁止、永住審査の要件である就労資格をもった在留に参入されないことなどを問題視。
1号と2号を一本化し、現在は技能実習生として受け入れている技能レベルの外国人労働者の受け入れをおこなうとともに、在留期間の更新をできる制度にし、定住化を進めるべきとする。家族帯同の可能性を認め、永住審査の要件である就労資格をもった在留期間に含めることも求める。
さらに、外国人労働者の受け入れにおいては、労働者から手数料を徴収する「ブローカー」による中間搾取がかねてより問題となっている。日弁連は、民間を通さない政府間の受け入れによる仕組みを導入するなどして、ブローカーによる中間搾取を防ぐ制度を実現すべきとしている。
日弁連副会長の増子孝徳弁護士は、4月27日に開かれた会見で、「外国人労働者を受け入れるからには、人権保障にかなった制度としなければなりません」と話した。
このタイミングで意見書を取りまとめたことについては、外国人の技能実習の適正な実施及び技能実習生の保護に関する法律(技能実習法)の「5年後見直し」の時期に差し掛かっており、国が十分に検討して制度改革を実現するよう求めるためだとした。