キャンパス内で喫煙するためには「事前登録」が必要。神奈川県にある湘南工科大学がこのほど、そんなルールをつくり、話題になっている。
大学によると、構内で喫煙を希望する学生は、喫煙マナーに関する講習会を受けたうえで、誓約書にサインして「登録」する。もし未登録のまま喫煙したり、指定された区域以外でタバコを吸った場合は、違反行為とみなされ、停学や退学などの処分がされるという。
背景には喫煙者のマナーの低下があるようだが、20歳以上なら「タバコを吸う自由」があるはずだ。喫煙者を登録する新ルールに対して、ネットでは「少し行きすぎでは?」といった声もあがっている。大学による「喫煙登録制」は、法的に許されるのだろうか。緒方剛弁護士に聞いた。
●「大学の自治」と「喫煙の自由」の争い
「大学のような施設を管理する者には、その施設の利用方法などを決める権限があります。特に大学の場合は、学問の自由(憲法23条)を基礎とした『大学の自治』の内容として、施設管理権が保障されています」
タバコを吸う側の権利はどうだろうか?
「『喫煙の自由』は、憲法13条の保障する基本的人権に含まれると考えられます。ただし、必ずしも重要性が高いものではありませんので、必要性と合理性がある場合には制約できると考えられます(最高裁昭和45年9月16日判決参照)」
●喫煙登録制は「手段」として合理的か?
大学における「喫煙登録制」は、必要性と合理性があると言えるのだろうか。
「この制度は、大学内の喫煙マナーの向上をはかり、快適な学習環境を確保するという必要性にもとづくものですので、制度を設ける必要性そのものは否定できないでしょう」
規制手段の合理性については?
「今回は『登録制』を採用していますが、登録のための手続きさえすれば、指定区域で自由に喫煙ができるのですから、規制手段としても合理的な範囲と考えられます」
緒方弁護士はこのように述べ、「喫煙登録制は、大学の施設管理権にもとづく制度として、法的には問題ないといえるでしょう」と結論づけていた。