高校生とみられる少年が、別の少年から一方的に暴行される「いじめ動画」がツイッターで拡散している。加害者が通っているとされる高校にハッシュタグがついて広まっているが、神奈川県教委は「無関係だとわかった」とする。これが事実だとすれば、ネットの誤った「特定」で別の被害が起きていることにもなりそうだ。
動画には、殴られたり、蹴られたりするたびに激しい打撃音が鳴り、撮影者とみられる女性の「絶対折れてる。やばいやばいやばい」といった声も収められていた。十人以上が取り囲んでおり、被害者側が「やめてください」と再三懇願しても、周囲は「殺せ、殺せ」「誰かポップコーン買ってきて」などとはやし立て、笑い声をあげている。
この動画は10月頃から拡散が始まったとみられる。オリジナルの投稿はすでに消えているようだが、別のアカウントが動画のキャプチャーを再アップした投稿が約7千リツイートされている。動画をみた人からは「胸糞悪い」「ひどい」といった感想があがっている。
ネットでは「特定班」の活動が過熱しており、加害者が通っているとされる高校名にハッシュタグがつけられ拡散している。しかし、弁護士ドットコムニュースの取材に対して神奈川県教委は「動画は把握していますが、無関係だとわかっています」とした。加害者が神奈川県立高校の生徒かどうかも現状では確認できていないようだ。
加害者側が通っているとされた学校にも連絡したが、「警察から情報提供があったが、本校とは無関係とわかった」。問い合わせが複数寄せられているようだが、件数や内容については回答を控えるとのことだった。未確定の段階での拡散は避けるべきだし、仮に確定したとしても本人特定などにはリスクが伴うことは理解しておくべきだ。
動画では、加害者側に向けたとみられる「朝倉未来になれよ、お前も」という「声援」も聞きとれる。朝倉未来さんはプロ総合格闘家で、スパーリングなどの動画が人気のYouTuberでもある。最近では「街の喧嘩自慢」とのスパーリング動画が前後編合わせて850万回再生されている。しかし、少年たちが撮影していたのはスパーリングではなく、いじめ・暴行だ。