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保育士7人が「未払い残業代1000万円」求め提訴 「休憩という概念はなかった」トイレも行けず
(東京・霞が関の厚労省記者クラブ、2021年7月1日、弁護士ドットコム撮影)

保育士7人が「未払い残業代1000万円」求め提訴 「休憩という概念はなかった」トイレも行けず

茨城県常総市の認可保育園で働く保育士ら7人が6月25日、施設を運営する社会福祉法人を相手取り、未払い残業代計約1052万円を求めて水戸地裁下妻支部に提訴した。保育士らが7月1日、東京・霞が関の厚労省記者クラブで会見を開いて明らかにした。

同法人に対しては、常総労基署が2021年3月2日、労基法37条(残業代未払い)に違反しているとして是正勧告を出している。

会見で保育士らは「休憩を取るという概念はなかった。これらの話は私たちの保育園だけで起きていることではないと思います。今回の行動が少しでも同じような保育士の励みになると嬉しいです」と話した。

●残業代は月1200円

提訴したのは、在職中の保育士2人とすでに退職した保育士5人。保育士らが加入している介護・保育ユニオンによると、2020年12月末から未払い残業代を求めて団体交渉をおこなって来たが、法人側は支払いを拒絶。是正勧告後も未払い賃金はないと主張しているという。

どんなに働いても残業代は月1200円ほどしかつけられず、2021年4月には法人の理事長が原告らの自宅を訪問して、現金20万円を手渡し、内容を説明しないまま「領収書」に署名させようとすることもあったという。

会見には原告3人が参加。過酷な労働実態を訴えた。

すでに退職している20代の保育士は「2歳児24人を合計2人の保育士で見ることは何度もあった。子どもが怪我してクレームが来ても、理事長は『職員でどうにかしろ』と前に出て来てくれることもなく、私たちがなんども頭を下げたこともありました」と語った。

また脚立から落ちたこともあったが、「労災にはできない」と言われたという。

「常日頃体調管理も自己責任だと言われていて、脚立から落ちた時も『不注意で落ちたことだから労災にはできない』と言われた。他の職員も骨を折ったり怪我をしたりしているけど、家で怪我したことにしなさいと言われていた」

別の20代の保育士は、朝7時に出勤して4時過ぎに退勤するまで、約9時間トイレにも行けなかったこともあるという。

「このままでは大好きな子どもたちの通う場所がなくなってしまう。様々な問題を解決し、長く働き続けられる職場環境と、子どもたちと保護者が笑顔で通える保育園になってほしい」と訴えた。

法人側は弁護士ドットコムニュースの取材に「担当者が不在」と回答した。

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