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2021年02月26日 16時29分

足利の山火事、原因が「火の不始末」だったら責任どうなる? 鎮火の見通したたず

足利の山火事、原因が「火の不始末」だったら責任どうなる? 鎮火の見通したたず
山火事の様子(2021年2月24日午後11時頃、織姫神社付近で撮影/「トトロ@jzx100チェイサー(@koukikouki1231)さん」提供)

栃木県足利市で2月21日に発生した山火事は、26日になっても延焼が続いている。

報道によると、2月25日時点で、約100ヘクタール(東京ドーム約21個分)が焼け、さらに燃え広がっている。自衛隊がヘリコプターを使った消火活動を続けており、消防も地上から放水活動をおこなっているが、鎮火の見通しは立っていないという。

足利市の和泉聡市長は、24日の会見で「ハイカーの休憩場所、イスが少し設置してあるような、そういう場所が出火元かなと推測している」と述べたという。

もし仮に、誰かによる火の不始末が原因だとしたら、どのような責任を負うことになるのだろうか。濵門俊也弁護士に聞いた。

●重大な過失がなければ、山火事の損害賠償責任は負わない

——民事責任として、どのような責任を負うことになるのでしょうか。

山火事の原因が「火の不始末=失火」と仮定して解説します。

2月25日時点では、山だけの延焼のようですが、人の行為で山火事となり、材木としての価値の損失という「損害」などが発生すれば、通常は不法行為に基づく損害賠償責任(民法709条)を負うことになります。

ただし、失火の場合については、失火責任法という特別な法律で、「重大ナル過失」(重過失)がある場合にのみ責任を負うこととされています。

この重過失について、判例は「わずかな注意さえすれば、たやすく違法有害な結果を予見することができた場合であるのに、漫然これを見すごしたような、ほとんど故意に近い著しい注意欠如の状態を指す」としています(最高裁昭和32年7月9日判決)。

失火責任法は、建物の火災だけでなく、山火事についても適用されます。

——刑事責任についてはどうでしょうか。

失火(過失による出火)で森林を燃やしてしまった場合、森林法違反(同203条、50万円以下の罰金)が成立する可能性があります。

また、いまだ鎮火しておらず、住宅地への延焼のおそれなども報道されています。もし重大な過失(不注意の程度が著しい場合)に基づく出火で民家などが燃えてしまった場合には、森林法違反とは別に、「重失火罪」(刑法117条の2、3年以下の禁錮又は150万円以下の罰金)が成立する可能性もあります。

画像タイトル 撮影者によると、撮影時はかなりの風が吹いており、肉眼でも火の粉が舞う様子が確認できたという。(2021年2月23日夜、足利市内で撮影/「かえるのピガロ店長@donguri7162さん」提供)

——もし裁判となった場合、どのようなことが争点になりそうですか。

民事事件であれば、やはり重過失の認定がポイントです。先ほど述べた最高裁の基準によれば、「ほとんど故意に等しいと評価されるべき著しい注意欠如の状態」というのですから、なかなか立証は難しいと思います。山火事が発生した当日の「風の強さ」「湿度(乾燥の程度)」なども考慮要素になるでしょう。

刑事事件は、過失行為の主体、行為の数、結果との因果関係等の問題があります。

火災事件はそのときの自然状況にもよりますが、延焼によって被害が拡大する傾向があります。適切な法的責任の範囲の確定も重要だと思います。

取材協力弁護士

濵門 俊也弁護士
当職は、当たり前のことを当たり前のように処理できる基本に忠実な力、すなわち「基本力(きほんちから)」こそ、法曹に求められる最も重要な力だと考えている。依頼者の「義」にお応えしたい。

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  • 撮影者によると、撮影時はかなりの風が吹いており、肉眼でも火の粉が舞う様子が確認できたという。(2021年2月23日夜、足利市内で撮影/「かえるのピガロ店長@donguri7162さん」提供)

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