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2021年03月02日 11時36分

母親の依頼で「ベビーカー」を運んで、階段から乳児が転落…駅員は責任を問われるのか

母親の依頼で「ベビーカー」を運んで、階段から乳児が転落…駅員は責任を問われるのか
JR湖西線の志賀駅(Googleストリートビューより)

駅員が乳児をベビーカーに乗せたまま階段を下ったら、乳児が転落して頭部を骨折——。こんな悲しい事故がネットで話題となった。

NHK(2月27日)によると、駅員は2月25日、滋賀県大津市にあるJR湖西線の志賀駅で、幼児と乳児を連れた母親の依頼で、ホームから改札階までベビーカーを運びながら階段を下りた。

その際、乳児はベビーカーに乗ったままで、ベルトを装着していなかった乳児がシートから床に落ちた。JR西日本のマニュアルでは、ベビーカーの移動の際は子どもを下ろした状態でおこなうと決まっているが駅員は忘れていたという。

●「心が痛いニュース」

ツイッターでは「心が痛いニュース」「普段からベルトしてないのかな…」「お母さんも駅員さんもどっちも不注意だったと思う」と様々な意見が集まっている。

中には、「全駅にエレベーター設置しておけば悲劇は起こらなかった」「JRなんでいまだにエレベーターない駅多いの?」とエレベーターがあれば防げた事故だと話す人もいた。

果たして、今回の事故で駅員は法的責任を問われてしまうのだろうか。田沢剛弁護士に聞いた。

●「安全に行うべき業務上の注意義務がある」

——乳児が転落した原因は複数ありそうですが、駅員は法的責任を問われてしまうのでしょうか。

鉄道旅客である母親に代わってベビーカーをホームから階下に下ろす駅係員の行為については、これが旅客に対して提供されるサービスの一環であるとすれば、安全に行うべき業務上の注意義務があります。

乳児を乗せたままベビーカーを下ろそうとして、乳児を転落させてしまったというのであれば、駅係員自身にその義務違反があったものとして、不法行為責任は免れないでしょう。JR西日本も、その使用者としての責任を問われることになります。

——ベビーカーに乗った乳児がベルトを装着していなかったと報道されています。駅員の責任は過失相殺されますか。

問題は、その乳児がベルトを装着していなかったことについて、母親にも責任があるとして、過失相殺の対象となるのかという点です。

これについては、賛否両論あるとは思いますが、母親がベビーカーを階下に下ろすことを駅係員に委ね、駅係員がこれを引き受けた以上は、乳児の安全は、全面的にその駅係員の支配下に置かれたものと考えられます。

そのため、駅係員に委ねられる前の段階で、ベルトが装着されていなかったことを捉えて過失相殺の対象にするというのでは、その駅係員の業務上の注意義務を軽減してしまう結果となりかねず、疑問があります。

JR西日本のマニュアルでは、乗客のベビーカーの移動を手伝う際には安全確保のために子どもを下ろした状態で移動させることになっていたと報道されています。

そのマニュアルに従わず、ましてやベルトを装着させないままベビーカーを運ぼうとした駅係員の行為は非常に危険であり、その責任は非常に重いというほかありません。

取材協力弁護士

田沢 剛弁護士
1967年、大阪府四条畷市生まれ。94年に裁判官任官(名古屋地方裁判所)。以降、広島地方・家庭裁判所福山支部、横浜地方裁判所勤務を経て、02年に弁護士登録。相模原で開業後、新横浜へ事務所を移転。得意案件は倒産処理、交通事故(被害者側)などの一般民事。趣味は、テニス、バレーボール。
事務所URL:http://www.uc-law.jp

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この記事へのコメント

うみ 30代 女性

仕事とはいえ、親切で行った行為。
マニュアルに従わなかったことは良くなかったのでしょうが、もう一人お子さんがおられた様子。2人をお母さんに抱かせることを躊躇ったのではないでしょうか? 上の子が歩いて降りれる状態であったのか分かりませんが、その辺りの判断を育児経験のない方に問うのは無理があると思います。
子供は大人の理解を超えた行動を取ったりします。
母親ならいかなる場合でも子供を危険な目に合わせないよう気を配りたいところです。
一番は小さな子が命に関わりそうな大怪我をしたのがかわいそう。お母さんもかわいそう。
そして、この駅員さんも一生残るトラウマを残したのではないでしょうか。おいくつの方か分かりませんが、若い男性なら将来、自分の子を持つのも躊躇うほどではないでしょうか? 

フラスコの中の神 男性 30代

記事の内容がうまく伝わっていないようなのでコメントさせていただきます。

この記事で駅員に厳しい意見が結論となっているのは、法律に基づいた解釈として、無償・有償であるかや、親切によるものか、という点に関わらず、「何らかの行為を行う場合、その行為によりもたらされた結果に対して責任が生じる」という点があるためかと思います。

記事中で触れられている通り、
 1. そもそも会社側のマニュアルに従っていないこと。
 2. ベビーカーの扱いに対する知識なく、ベビーカーに子供を乗せたまま扱ったこと。
の2点が問題であり、どちらか片方でもきちんと対処できていれば事故は生じなかったことが明白である、ということに基づくものだと思います。

母親に二人の子供を抱かせることを避けるために、危険行為(正確な扱い方を知らないベビーカーに、細心の注意をもって取り扱うべき幼児を乗せたまま取り扱うこと)をしてよいかといえばそうではない、ということになります。

そういう観点で、法的に見た場合は「駅員に重大な過失があり、その責任を免れない」という見解が示されているものと思います。

現実問題として、母親が一人を、駅員が一人を抱いて、通りがかりの人などにベビーカーを運んでもらうといった手段はありえるとおもいますし、別の駅員を呼んで二人係で対応して移動するなど、手段はあったと思います。

仮に、急いでいるなどでそれらの対応が取れなかったとしても、なお「母親にベビーカーの扱いについて逐一確認する」など、安全性に配慮すべきであったといった判決になるのではないかと思います。

親切で行ったのだから、過剰な責任を負わせるべきではない、といった判断を法的に行うことは難しいかと思われます。

もちろん、被害を受けた母親側や、あるいは会社側が、親切で行った行為だから、として駅員に対する請求の軽減等を自発的にとることは可能ですが、それらは当事者間の話となり、法律的な落としどころとしては、記事最後の通りの「駅員の安全配慮が著しく不足していて、責任は重い」ということになるものだと思います。

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