皆さんは食べるのが早い方ですか、遅い方ですか。人によって食べるスピードはさまざまですが、食べるのが遅いと店員からプレッシャーをかけられることもあるようです。
弁護士ドットコムには「行列の出来るラーメン屋で食事中に追い出されました」という相談が寄せられています。
●「次の方に迷惑ですので」最後まで食べられず
相談者はもともと食べるのが遅く、熱くて量も多いラーメンを食べるのに時間がかかりました。一生懸命食べていたところ、店員から「多かったら残してください」と声をかけられました。
気を遣って言われたと思った相談者は「大丈夫です」と返し、その後も食べていたところ「もう次のお客さんのが出来上がってしまうので残して帰って下さい」と言われてしまいました。食べ始めて10分程度の出来事だったそうです。
相談者は「『次の方に迷惑ですので』とまで言われ、私は居心地が悪くなり席を立ちましたが、追い出されたような気がしてなりません」と最後まで食べさせてもらえなかったことに憤っています。
食べるのが遅いことで気まずい思いをした人は他にもいるようです。ツイッターでは「ラーメン食べるの遅くて待ってる客と店員からプレッシャーがすごい…」「食べるの遅くて、店員にごちゃごちゃ言われて追い出された」といった声もありました。
こうした場合、代金を返金してもらえるのでしょうか。浅野英之弁護士に聞きました。
●独自の慣行が「暗黙のルール」に
頼んだラーメンを全部食べることができず、しかも、全部食べることができなかった理由がお客さん側の都合ではなく、店がプレッシャーをかけて追い出したことが理由となっています。
そのため、一般的に考えれば、サービスを十分に受けることができなかったということとなり、サービスを受けられなかった分の料金について、返金を求めてもよいようにも思えます。
しかし一方で、上記ご相談内容にあるラーメン店のように、ラーメン店側の独自の慣行で、他のお客さんと同程度のスピードで食べ終えることが暗黙のルールとなっている店があります。
このような店では、ラーメンの味はもちろんのこと、独自のルールもあいまって、その店固有の世界観を形成していることが、人気の源となっています。
そして、行列のできる有名店であれば、インターネット上の評判などで、その独自のルールは十分に広まっていることが少なくありません。
上記ご相談をした方が、このような暗黙のルールを理解して行列に並んだのであれば、「遅れずに食べ終えること」も店とお客さんとの間の契約の内容となっていると考えられます。