2014年01月09日 20時45分

イノシシ捕獲用の「わな」で子どもがケガ 「責任」はだれにあるのか?

イノシシ捕獲用の「わな」で子どもがケガ 「責任」はだれにあるのか?
イノシシによる農作物への被害が深刻になっているという

イノシシ捕獲用の「わな」に、誤って小学6年生の男子児童がかかって、軽いけがをするという事故が起きた。報道によると、この児童は12月上旬、岐阜市内にある山で同級生数人と遊んでいたところ、山の斜面で「わな」に足が挟まれ、抜けなくなったという。

この「わな」は、輪の中に足を入れるとワイヤが締まる「くくりわな」という種類。鳥獣保護法では、わなの設置場所や設置者名を知らせる標識を付けることが義務づけられているが、このわなには標識が付いていなかった、と報じられている。

農林水産省によると、2009年度のイノシシによる農作物への被害額は約56億円にものぼっており、わなはその対策などとして、自治体等が設置を許可している。このような鳥獣対策用の「わな」で、人がけがをした場合、誰に責任があるのだろうか。中村憲昭弁護士に聞いた。

●損害賠償責任が生じるケースも

「わなを設置した人は、不法行為に基づく損害賠償責任を負わなければならない可能性があります。民法上、過失により人に危害を加えた者は、その損害を賠償しなければならないからです(709条)」

もし自治体の許可をもらっていたとしても、「不法行為」になってしまうのだろうか?

「この場合の過失というのは『損害を予見できたのに、それを回避しなかった』という注意義務違反のことです。行政の許可があっても直ちにその義務がなくなるわけではありません。

わなはそれ自体、人に怪我をさせるおそれのある危険なものです。人が立ち入る可能性のある場所であれば、その人がわなにかかってけがをすることは予見できます。

山の中とはいえ、全く人が立ち入ることのできない場所はごく稀でしょうから、わなのある場所に立ち入らないよう看板を設置したり、わなの場所を明示するなど、人がわなにかからないよう配慮する義務があります」

鳥獣保護法で義務づけられた標識が付いておらず、わなの存在に気づきにくくなっているような場合、過失があったと判断される可能性もより高くなりそうだ。

「他方、行政に対しては、責任を追及することは難しいでしょう。法律に基づき、狩猟免許所持者に限って、場所や対象を限定してわなの設置許可を出している以上、よほどの落ち度がない限り、責任追及はできないでしょう」

中村弁護士はこのように述べたうえで、「動物は文字を読めませんから、捕獲者は億劫がらずにきちんと警告してほしいですよね」と話していた。

(弁護士ドットコムニュース)

取材協力弁護士

中村 憲昭弁護士
離婚・相続、交通事故など個人事件と、組織が万全でない中小企業を対象に活動する弁護士。裁判員裁判をはじめ刑事事件も多数。その他医療訴訟や建築紛争など専門的知識を要する分野も積極的に扱う。

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