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裁判を「欠席」しても問題ないのか?

裁判を「欠席」しても問題ないのか?

禁止された薬物の売買に関する違法な書き込みを放置していたとして、麻薬特例法違反ほう助の疑いで書類送検されていた「2ちゃんねる」元管理人ひろゆきこと、西村博之氏。今月19日、東京地検は西村氏を不起訴処分にすると発表した。

今回の刑事事件では起訴を見送られたわけだが、西村氏はこれまで「2ちゃんねる」絡みの民事訴訟を多数抱え、それらの裁判にまったく出席していないと言われている。だが、裁判というと、ある種の強制力がともなうイメージがある。

では、裁判の種類にもよるだろうが、裁判を欠席することは法律で認められているのだろうか。また、それはどのような場合だろうか。さらに、裁判を欠席することで、当事者はメリット、デメリットがあるのだろうか。好川久治弁護士に聞いた。

●裁判の進行には、当事者の出席が不可欠

「裁判は、訴えを起こした原告と、請求の相手方とされた被告との間で、主張と証拠を闘わせて裁判所の判決を得るための手続です。日本では公開の法廷で、当事者が口頭で主張・立証した事実をもとに裁判をする建前となっていますので、裁判の進行には当事者の出席が不可欠です。例外的に出席を要しないのは、書面による準備手続や判決の言渡し期日など一部のみです」

このように好川弁護士は裁判のルールを説明する。しかし実際には、当事者本人やその代理人である弁護士が法廷にあらわれないケースがある。

「その理由はさまざまですが、たとえば、(1)裁判に負けても、強制執行で取られるものは何もないので放っておこう、(2)忙しくて仕事を休めないので出席できない、(3)何をどうすればよいのか分からないので放置した、(4)行方不明のため、裁判を起こされていること自体を知らなかった、といった事情が考えられます」

では、当事者が欠席した場合、裁判はどうなるのだろう。

「いったん訴えが起こされた以上、裁判所は審理を進めなければなりませんので、一方の当事者が欠席した状態でも裁判は進んでいきます。その結果、欠席した当事者は不利益を受ける可能性があります」

●訴えられても放っておくと「欠席判決」を下されてしまう

では、具体的にどのような展開が考えられるのだろうか。好川弁護士は、訴えられた側である被告のケースを例にあげて、次のように説明する。

「たとえば、原告に訴えられて、口頭弁論のために法廷に呼び出しを受けたにもかかわらず、答弁書等を提出しないで期日に欠席すると、原告の主張を認めたものとみなされ、原告勝訴の判決が下されることがあります。いわゆる、欠席判決です」

つまり、誰かに裁判を起こされたとき、何もしないで放っておくと、いくら自分に非がなくても相手の主張が通ってしまい、裁判に負けてしまうということだ。このような裁判の欠席によるデメリットは頭に入れておいて損はないだろう。

(弁護士ドットコムニュース)

この記事は、公開日時点の情報や法律に基づいています。

プロフィール

好川 久治
好川 久治(よしかわ ひさじ)弁護士 ヒューマンネットワーク中村総合法律事務所
1969年、奈良県生まれ。2000年に弁護士登録(東京弁護士会)。大手保険会社勤務を経て弁護士に。東京を拠点に活動。家事事件から倒産事件、交通事故、労働問題、企業法務まで幅広く業務をこなす。趣味はモータースポーツ、ギター。

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