今月1日まで開催されていたサッカーのUEFA欧州選手権、そしていよいよ27日に開幕するロンドンオリンピックと、4年に1度の世界的なスポーツイベントが続き、スポーツファンにとっては楽しみな時期を迎えた。なかには家族や友人と揃って観戦するという人もいるだろう。
しかし一方で、過去にこのようなスポーツイベントなどの観戦で熱中するあまりつい大きな声をあげてしまったり、友人たちと集まって騒いだりすることで、近所の人から苦情を言われた、あるいは反対に近所の騒音を迷惑に感じた経験がある人もいるのではないだろうか。
それぞれが節度を守って観戦すれば良いだけの話ではあるが、残念ながら一部には騒音を注意されても気に留めないような人がいるようで、近所との騒音トラブルの事例は少なくない。
それではもし近所の騒音によって迷惑を受け、自ら注意しても相手に改善が見られないような場合には、法的にはどのような対応が可能なのだろうか。
近所トラブルの相談事例に詳しい梅村正和弁護士によると、
「騒音が毎日続いたため病気になったような場合には、民事としては、騒音差し止めの仮処分、刑事としては、傷害罪となることがあります。著名な例として、民事では、病気療養中の女性の申立てで、公園での子供の歓声がうるさいとして差し止めの仮処分を認めた東京地裁八王子支部の判断、刑事では、女性が大音量の音楽などによって隣人を高血圧症の悪化や睡眠障害にさせたとして傷害罪で実刑を受けたものがありました。病気になるほどではなくても日常生活に支障が生じるような場合には、騒音差し止めが認められる可能性はあるでしょう。」
「また、健康障害などの損害の賠償請求をすることも可能になってきます。時には、騒音を止めるように指示した警告書を弁護士から出してもらうだけで、騒音が今までより小さくなることもあります。この辺は、他のトラブルと同様で、話し合いで済むか、裁判までやるかは、最終的には相手次第ということになります。」
「ただ、法的な解決が役に立つのは、継続的に何日にも渡って騒音が続くような場合であり、そのときだけの一時的な騒音に対しては、警察に連絡して注意してもらうというような対処療法的方法しかできないことが多いでしょう。」
ロンドンオリンピックのように開催国と日本の時差が大きい場合は、競技が生中継される時間帯が日本時間の深夜から明け方になることが多く、観戦する際には近所への配慮がより求められる。
もし近所とトラブルになってしまうと、相手への迷惑はもちろん自分自身の盛り上がりにも水を差すことになってしまうので、節度を守った観戦を心掛けたい。