「#僧衣でできるもん」というハッシュタグが話題になった、僧衣運転問題。全国の僧侶からブーイングを浴びた福井県警が、衣服の規定を削除する事態になった。警察がここまで追い込まれるのは異例だ。
福井新聞などの報道によると、発端は2018年9月、県警が僧衣で運転していた40代の男性僧侶に交通反則切符(青切符)を切ったこと。
のちに「証拠が不十分」として書類送検もされなかったが、県警はついに県道路交通法施行規則を改正し、衣服の規定を削除すると発表したという。県公安委員会が3月15日に公布し、4月4日に施行される。
全国的には、「運転操作に支障のある衣服」を禁じているのは福井県など15県で、都道府県により規則にばらつきがあるのが現状だという。自らが僧侶でもある本間久雄弁護士に今回の問題について聞いた。
●衣服規定は他県も削除すべき
ーー今回の「衣服規定」削除について、どう受け止めておられますか
「僧侶の立場から言えば、嬉しいことです。僧侶は、葬儀・法要等の際、僧衣で移動することが多くあり、『衣服規定』があることで、僧侶としての活動が大幅に制限されることになりかねません」
ーーでは弁護士としての立場からはどうですか
「そうですね。弁護士の立場からすると、規定に関する騒動があってすぐ規定が削除されたとなると『法の安定性』がないがしろにされたような気がして複雑な気分です」
ーー都道府県により、規則にばらつきがあることについてはどう思われますか
「各都道府県の道路交通法施行細則に『運転操作を妨げるおそれ』のあるものを身につけることを禁止する規則が盛り込まれたのは、運転操作、特に急制動の措置を誤ることを防ぎ交通の安全を確保する趣旨からです。
道交法施行細則を制定するにあたっては、地域的特殊性を考慮して各都道府県の公安委員会に裁量が認められています。
しかしながら、『運転操作を妨げるおそれ』については、各都道府県の地域的特殊性によって異なるとは考えられないため、全国的に統一すべきだと思います。
多くの都道府県で履物のみが規制対象となっていることから、衣服に関する規制は他の県も削除すべきではないかと思います。実際、衣服については、履物よりも選択の幅が大きいことから、規制対象が大きく広がり市民生活がより制限されてしまう恐れがあります」