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袴田事件、特別抗告で再審目指す「疑わしきは被告人の利益に」
西嶋弁護士(左)と角替弁護士

袴田事件、特別抗告で再審目指す「疑わしきは被告人の利益に」

袴田巌さんの弁護団は6月18日、裁判のやり直しを認めなかった6月11日の東京高裁決定を不服として、最高裁に特別抗告した。

再審開始の判断については、新証拠と旧証拠を総合的に判断すべきとした最高裁の「白鳥決定」(1975年)が有名だ。弁護団は、東京高裁の決定は、この白鳥決定などに反し、DNA型鑑定などの論点を個別に、しかも誤った形で判断したものだと批判している。

弁護団長の西嶋勝彦弁護士は、高裁決定について「最高裁としても決して見過ごすことはできないだろう。それなりの判断を勝ち取れると思っている」と語った。

●「疑わしきは被告人の利益」になっていない

大きな争点になっているのは、袴田さんが働いていた工場のみそタンクから見つかった、犯人のものとされる5点の衣類の扱いだ。

弁護団は、この衣類についた血痕のDNA型が袴田さんや被害者のものと異なるという鑑定結果を提出。2014年3月の静岡地裁決定では、再審開始決定に大きく影響した。しかし、今年6月の東京高裁決定は、鑑定手法に問題があるなどとして、信用できないと判断した。

弁護団の角替清美弁護士は、「(高裁決定は)誤解なのかわざと書いたのか分からないが、おかしいところがあるので、(特別抗告申立書の中で)1つ1つ反論している」。

また、弁護団は、そもそもこの衣類は捜査機関による「捏造」だと主張。事件から1年2カ月後にみそタンクの中から見つかった割には、衣類の色が薄いからだ。弁護団は実際にみそ漬け実験を行い、結果を提出したが、東京高裁は使ったみその色が当時の色とは違うなどとして退けている。

西嶋弁護士は、「(裁判所は)弁護側には厳格な証明を求めるが、検察側にはそうでもない。確定判決が重しになって、『疑わしきは被告人の利益』になっていない。これが高裁決定の最大の問題だと思う」と述べた。

(弁護士ドットコムニュース)

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