元恋人などに嫌がらせをするため、裸の写真などをばらまく「リベンジポルノ」。元交際相手の女性の裸写真を「ツイッター」に投稿したとして、リベンジポルノ対策法違反の疑いで、このほど東京都内の会社員男性(50)が逮捕された。投稿された写真は顔がハッキリ分からないもので、そうした写真で同法違反に問われたケースは全国初だという。
報道によると、男性が投稿した写真5枚は、いずれも後ろ姿か、もしくは顔が分からないよう加工してあった。ただし、写真に「女性のあだな」などが添えられており、知人であれば特定できたとされている。
後ろ姿の写真に「あだ名」がついている程度では、多くの人にとって、それが誰なのか分からないように思える。それでも「リベンジ(復しゅう)ポルノ」になるのだろうか。法律はどんな風に決まっているのだろうか。わいせつ犯罪にくわしい奥村徹弁護士に聞いた。
●プライベートな性的画像を「公表」したらアウト
リベンジポルノ対策法は、プライベートに撮られたセックス画像などを「私事性的画像記録」と定義し、それを公表した場合に「公表罪」として、罰を科すという仕組みになっている。
奥村弁護士は「『私事性的画像記録』自体の要件には、第三者からの『特定可能性』は含まれていません」と説明する。
つまり、それが誰の写真か全く分からなくても、ひとまず「私事性的画像記録」とされる可能性があるわけだ。
対象となる画像は、セックスをしている姿だけでなく、他人の性器を触っている姿、身体の性的な部位が露出・強調されている姿など、幅広く考えられているようだ。
ただし、もともと公表される予定で撮られたアダルトビデオなどは、プライベートではないため、「私事性的画像記録」にあたらないという。
●「画像以外」から特定できる場合も対象になる
一方で、リベンジポルノの「公表罪」は、「第三者が撮影対象者を特定することができる方法」での公表に限定されている。この方法とは、どういうものだろうか。
「写っている人を、画像そのものから特定できる場合だけではなく、画像以外の部分から特定できる場合でも、『特定することができる方法』にあたると考えられています。
『警察公論』2015年3月号に掲載された、水越壮夫検事の論文では、次のような説明がされています。
《『特定することができる方法』とは、撮影対象者の顔や背景として写っている物など、公表された画像自体から撮影対象者を特定することができる場合のほか、画像公表の際に添えられた文言や掲載された場所など、画像以外の部分から特定することができる場合も含まれる。》」
顔が隠れていて「あだ名」だけだと、誰か分かるのは、ごくわずかな人に限られるようにも思えるが・・・
「第三者について、さきほどの論文は、撮影された人の『配偶者や友人』などが特定できれば、それで足りるとしています」
奥村弁護士はこのように述べていた。
たしかに、もしそんな画像を配偶者や友人に見られたら・・・。その精神的ショックはかなり大きなものに違いない。