福岡県築上町内にある住宅のインターホンを鳴らして逃げる「ピンポンダッシュ」をしていた少年らが7月13日、居住者の男性らに見つかった際、男性の胸元を突き飛ばしたとして、福岡県警に暴行の疑いで現行犯逮捕された。
報道によると、少年らは同日未明の3時半過ぎから朝方にかけて、同じ住宅に対してピンポンダッシュを3回実施。居住者の男性は6時半ごろに被害を受けたあと警察に連絡したという。
その後、男性と警察が近所を巡回していると、防犯カメラの映像とよく似た少年らを駅前で発見。警察の接近に反応した少年らが逃げようとした際、少年の1人が立ちはだかった男性の胸元を突き飛ばしたという。暴行容疑で逮捕された少年は容疑を否認しているものの、男性宅のインターホンを鳴らして逃げたことは認めているようだ。
「ピンポンダッシュ」といえば、子どものイタズラとして比較的知られているものだが、深夜・未明にされたら居住者としては迷惑極まりない。「ピンポンダッシュ」をしただけでも何か罪に問われる可能性はあるだろうか。冨本和男弁護士に聞いた。
●住居侵入罪や偽計業務妨害罪が成立する可能性
——「ピンポンダッシュ」で罪に問われる可能性はありますか。
インターホンが住宅のどこに設置されているかにもよりますが、ピンポンダッシュをするために住宅の敷地内に立ち入ったような場合、住居者の意思に反する行為なので、住居侵入罪(刑法130条)が成立する可能性があります。
また、ピンポンダッシュした先が企業や店舗などの場合、従業員がインターホンが鳴ったとして来客対応などをすることを余儀なくされることが考えられ、業務を妨害したとして偽計業務妨害罪(刑法233条)が成立する可能性もあります。
——過去にはストーカー規制法違反の疑いで捜査された例もあるようです。
ストーカー規制法では、恋愛感情や怨恨感情から、つきまといや住居等への押し掛け等を繰り返すことを「ストーカー行為」として規制しています(同法2条)。
また、軽犯罪法は、不安もしくは迷惑を覚えさせるような仕方で他人につきまとった人を処罰する規定を置いています(同法1条28号)。
さらに、恨みや悪意の感情などから、つきまといや住居等への押し掛け等を繰り返すことを都道府県の迷惑防止条例等が規制していることもあります(たとえば東京都迷惑防止条例5条の2第1項1号)。
ピンポンダッシュは、これら法令が定める「つきまとい」あるいは「住居への押し掛け」にあたる可能性もあるでしょう。
単なるイタズラでは済まない可能性もあり、迷惑行為以外の何物でもないピンポンダッシュは厳に慎まなければなりません。