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マッチングアプリで婚活「ドタキャンされた」「相手は既婚者だった」悲劇相次ぐ… 弁護士に聞く
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マッチングアプリで婚活「ドタキャンされた」「相手は既婚者だった」悲劇相次ぐ… 弁護士に聞く

婚活サービスの中でもコロナ禍で台頭し、年々利用者数が増加しているマッチングアプリ。 2021年度の調査によれば2017年に9.1%だったアプリの利用率が21.8%が活用しているという(出典:株式会社リクルート「婚活実態調査2021」(リクルートブライダル総研調べ)。

先日はタレントの新山千春さんもアプリで出会った人と交際を進めていると報じられるなど登録者の裾野は広いし、アプリを契機に結婚している人たちも増えてきている。

かく言う記者(30代・女性)もコロナ禍において「出会うタイミング」が皆無だったことからマッチングアプリに登録し、さまざまな人とやりとりしてきた。利用者が多いということは、登録している層も多岐に及び、中にはトラブルに巻き込まれるケースも聞こえてくる。 今回は、弁護士ドットコムニュースに寄せられた相談も併せて、「アプリに潜む罠」の実例をみながら、トラブルに巻き込まれないための工夫や、トラブルに巻き込まれた際の法的対処法について考えていきたい。

●ケース1  約束前の直前ドタキャン “No show”

待ちぼうけ 画像はイメージです (Lukas/ PIXTA)

アプリでマッチング後、メッセージでやり取りし食事やお茶の約束をしたものの、当日や待ち合わせ時間になっても姿が現れないいわゆる“No show”もトラブルの一つ。

記者が経験したのは当日ドタキャン。ある程度の待ち合わせ場所が決まっていたものの、具体的な場所が決まらず不信感が募った。「イヤな予感」がしたので約束の1時間前に「どこにしますか?」とメッセージを送信。しかし、数分後には相手のアカウントが見られない状態(ブロック)にされたことがあった。

アプリによってはトラブルに巻き込まれないためにブロックしたり、運営側に不適切な利用者だと通報できたりするシステムが設定されているが、本人のアカウントが見られないと通報さえもできないので、まんまと逃げられた形だ。

逆のケースもある。弁護士ドットコムに寄せられている相談の中では、会う約束をしたが後のやり取りで不信感を募らせ約束を前日や当日にキャンセルしたというケース。キャンセルしたものの、脅迫まがいのメッセージがきたり、慰謝料を請求すると連絡が来るなどして困っているというものだ。

●ケース2 「相手が既婚者だった」 正式に付き合っているはずなのに・・・

既婚者だったとわかる悲劇 画像はイメージです。(yamasan / PIXTA)

相談で寄せられるケースで最も多いのが相手が既婚者だったというトラブルだ。

一番危惧しているケースであり、もともとアプリの出会いに消極的だった記者は、既婚者か確かめるために、相手のフルネームからSNSを検索したり、場合によっては職場や出身校の繋がりから相手が既婚者かどうか可能な限り調べたことはある。

もちろん、アプリによっては独身証明を提出している人がわかるものもあれば、堂々とプロフィール欄に既婚であり、割り切った関係を望む、と明記されているものもあるし、一方でプロフィールのステータスをコロコロ変える人がいるので信用ができるまでは確認しておくのが自己防衛として大事だと思う。

幸いにして、記者は独身者と偽った人とマッチしたことはないものの、弁護士ドットコムの法律相談には多数の悲痛な相談が寄せられている。 中には自衛して「口頭で独身、一人暮らしであることを確認した」という人でも、相手の策略にひっかかることもある。

●既婚者と隠されて交際、慰謝料請求できるケースも

相手が既婚であることを隠して、そのことに気づかずに交際を続けていた場合、相手に慰謝料を請求することは可能だ。

離婚、男女問題に詳しい瀧井喜博弁護士によれば、相手との婚姻を信じて交際を続けた女性の「貞操」や「性的自由」などの人格権を侵害したことを理由に、慰謝料を請求することが考えられるという。

「簡単に言えば『自由意思で既婚者と交際したわけではない』人が、相手方に独身と嘘をつかれ、交際し性的関係をもった時に発生します。交際開始時に相手方に独身であることを確認したり、独身であると信じることが相当である場合には、貞操侵害が認められる可能性が高まります」なお、気になる慰謝料の額だが、交際期間のほか、相手方の悪質性(どのように嘘をついていたのか等)、交際内容等、総合的に見て判断されるという。

「数カ月といった短期間の交際であれば30万円程度の慰謝料となることが多いですが、悪質なケースでは200万円以上の請求が認められた裁判例もあります」(同)。

瀧井弁護士は次のように注意を促している。 「相手方が既婚者であると知って、思わず問い詰めてしまうお気持ちはわかります。しかし、慰謝料が発生するケースか、発生するとして慰謝料額がどの程度かは、多分にケースバイケースなところがあるため、まずは弁護士にご相談いただくことをお勧めいたします」

プロフィール

瀧井 喜博
瀧井 喜博(たきい よしひろ)弁護士 弁護士法人A&P 瀧井総合法律事務所
「あなたの『困った』を『よかった』へ」がモットー。あらゆる「困った」の相談窓口を目指す、主に大阪で活動する人情派弁護士。自由と自律性を押し出す新しい働き方、楽しく成長し続けることができる職場環境として、「ブラック」でも「ホワイト」でもない「カラフル」な職場の構築、拡大を目指して、日夜奮闘中。

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