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侮辱罪の法定刑引き上げは「表現の自由を脅かす」 日弁連が反対する意見書発表
会見した神田安積・日弁連副会長(左)と和田恵・日弁連刑事調査室嘱託(2022年3月23日、東京都、弁護士ドットコム撮影)

侮辱罪の法定刑引き上げは「表現の自由を脅かす」 日弁連が反対する意見書発表

日本弁護士連合会(日弁連)は3月17日、侮辱罪の法定刑の引き上げに関する意見書を公表。「法定刑を引き上げ、懲役刑を導入することは、正当な論評を萎縮させ、表現の自由を脅かすものとして不適切である」などとして、反対する姿勢を示した。

インターネットの誹謗中傷を抑止するため、政府は3月8日、厳罰化することを盛り込んだ刑法等の一部を改正する法律案を閣議決定した。現在の法定刑は「拘留(30日未満)または科料(1万円未満)」となっているが、改正法案は「1年以下の懲役・禁錮または30万円以下の罰金」を追加した。

意見書は、侮辱罪が公共の利害に関する場合の特定の適用がないことから、「公共の利害に関する論評であっても、他人に対する軽蔑の表示が含まれていれば、処罰対象とされるおそれがある」と指摘。法制審議会・刑事法部会がわずか2回の会議で要綱を決定したことについても「ここまでの議論は十分とは言い難い」と問題視した。

また、侮辱罪の法定刑の引き上げは「インターネット上の誹謗中傷への対策として的確なものとも言えない」とし、対策として「プロバイダ責任制限法を改正して発信者情報開示の要件を緩和し、損害賠償額を適正化するなど、民事上の救済手段の一層の充実を図るべき」と述べている。

意見書全文は日弁連HPから
https://www.nichibenren.or.jp/document/opinion/year/2022/220317.html

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