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「痴漢レーダー」で見えた、宣言解除で“急増”の兆し 子ども狙う犯罪にも警鐘
写真はイメージです(みくそん / PIXTA)

「痴漢レーダー」で見えた、宣言解除で“急増”の兆し 子ども狙う犯罪にも警鐘

6月から通勤・通学の景色が戻ってきた。SNSでは「通勤ラッシュ」「満員電車」の報告が見られる。3密による感染リスクが心配されるが、痴漢の活動再開も懸念されている。

痴漢の動きを可視化するサービスを分析すると、新型コロナによる活動自粛の影響で、やはり痴漢などの迷惑行為も抑制されていたようだ。サービス開発者は「緊急事態宣言の解除によって、痴漢急増の兆しが見える」と警鐘を鳴らす。

●コロナ禍、痴漢レーダーの報告件数は減少していた

痴漢被害や盗撮行為などのあった場所がわかるアプリ「Rader-z(旧名称:痴漢レーダー)」を開発した「RadarLab株式会社」のChief product officer片山玲文さんが、コロナ禍の痴漢の動きをレポートした。

レポートは累計約7万人のユニークユーザーからの報告データに基づく。国内の感染被害が始まった1月から5月末まで(1月20日〜5月31日)の痴漢などの被害を分析した。統計的に有意でなく、参考値ながら、新型コロナと痴漢の動きの関係性が見えてきた。

全体の被害報告件数(縦軸:実数は非公開)と日にち(横軸)のグラフを見ると、1月から5月にかけて右肩下がりに被害が減少していることがわかる。

被害全体の報告件数は1月から5月にかけてどんどん減少していることがわかる(RadarLab提供) 被害全体の報告件数は1月から5月にかけてどんどん減少していることがわかる(RadarLab提供)

●満員電車がなくなると、被害抑制に一定の効果か

「痴漢をはじめとした被害の報告数は、1月末から徐々に減少傾向で、政府から自粛の呼びかけがあった2月末からはさらに減少傾向がみられます。特に緊急事態宣言後はかなり減少しています。これは盗撮、ぶつかり行為など全種別の被害で同様です」

被害項目別。上から「つきまとい」「ぶつかり」「盗撮」「不快行為」「露出」(RadarLab提供) 被害項目別。上から「つきまとい」「ぶつかり」「盗撮」「不快行為」「露出」(RadarLab提供)

「公共交通機関の利用者が減って満員電車がなくなったことも大きな要因だと思います。被害全体の42%を占める痴漢も、減少傾向にありました。人の往来の減少は被害抑制に一定の効果がありそうです。ぶつかり・不快行為の減少の傾向は特に顕著でした」

痴漢被害の報告もコロナ禍で減っていった(RadarLab提供) 痴漢被害の報告もコロナ禍で減っていった(RadarLab提供)

●宣言解除後から被害報告が増加している

しかし、安心もしていられない。6月に入ってから、コロナ禍でたまったストレスが「痴漢」など見える形で爆発しないか危惧されている。

コロナの影響がなかった2019年以前の曜日別データを調べると、月曜から金曜にかけて被害報告が増加する傾向にある。

「週末に向かってストレスが高くなっていることから、報告が増加するのではないかと考えております。

コロナの自粛期間にストレス増加した人がいると思われます。自粛解除が進む6月からも、世の中のストレス度が高ければ、被害報告が増えるのではないかと危惧しています」

●子どもを狙った犯罪増加に注目

満員電車と痴漢に一定の関係性があることは見えてきた。一方、片山さんは「街中での被害にも注意したい」と話す。

5月25日以降に寄せられたユーザーのレポートでも、街中で怖い目に遭ったという報告が目立つようになったそうだ。

「後ろを歩いていたら異常に振り向きチラチラじろじろと見られ、信号では怖いので距離を置いて立っていると執拗にガン見をされ恐怖」(あるユーザーの報告)

さらに、警戒を強めるべきは、子どもの被害だ。1日から都内の小中学校で授業が再開された途端、登下校中の子どもが男に声をかけられたり、手を引っ張られたりする被害が相次ぎ、警視庁が注意を呼びかけているというニュースが報じられた(6月1日、NHK・首都圏NEWSWEB)。

「感染リスクを避けるために、分散登校で子どもが1人で登下校するようになります。学校が再開された途端に被害が起きてしまったことに、警戒を強めています」

5月28日には「本屋辺りで通路の真ん中に不自然に立って一点を凝視している男 目線の先には走れるようになったくらいの女児と男児一人ずつ。」という報告も寄せられている。

同社では、街中の子どもを中心とした「ヒヤリハット(不審者など)」の問題を可視化するサービスをリリースする予定だ。「休校明けに街に出てくる子どもたちを狙った犯罪に注意していきましょう」

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