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ろくでなし夫が狙った「妻の貴金属」、さらには義母の記念硬貨も売却…罪に問えるのか?
画像はイメージです(Fast&Slow / PIXTA)

ろくでなし夫が狙った「妻の貴金属」、さらには義母の記念硬貨も売却…罪に問えるのか?

別居している妻の貴金属と義母の記念硬貨を勝手に売却してしまったが、窃盗罪になるのか? そんな質問が弁護士ドットコムに寄せられた。

相談者と妻は別居中だ。具体的な経緯は不明だが、相談者は妻が所有していた貴金属と、義母が妻に預けていた記念硬貨を売却してしまったという。それが発覚すると、義母は「窃盗罪及び横領だ。警察に被害届を出す」と言ったそうだ。

相談者の行為が「窃盗罪」などに該当する可能性はあるのだろうか。また民事ではどのような責任を負うのだろうか。西山良紀弁護士に聞いた。

●妻の貴金属を売却「刑事罰を受ける可能性はない」

ーー家族のものでも、窃盗罪に該当する可能性はあるのでしょうか

妻の貴金属を売却したことについて刑事罰を受けることはありませんが、義母の記念硬貨を売却したことについては刑事罰を受ける可能性があります。

刑法には「配偶者、直系血族又は同居の親族」間で起こった窃盗罪・横領罪については刑を免除する規定があります。「同居していない親族」間で生じた窃盗罪・横領罪については、告訴がなければ公訴を提起することができないという規定があります。

ーーこの夫婦の場合、妻とは別居していますが、免除されるのでしょうか

別居していても妻は配偶者に該当するので、妻の貴金属を売却したことについては刑が免除されます。

ただ、今回のケースで義母は「同居していない親族」に該当すること、相談者を許す気持ちがなく告訴を考えていそうなので、刑事罰を受ける可能性は否定できません。

法律的には以上の通りです。実際のところ警察は、よほどの事情がない限り、のらりくらりと義母をかわし、刑事告訴を受理せずに終わらせるのではないかという気がします。

ーー民事においてはどうでしょうか

妻の貴金属と義母の記念硬貨を勝手に売却した行為は、民事上、不法行為に該当します。相談者は、貴金属や記念硬貨の価値に相当する金額を賠償金として支払わなければならないでしょう。

プロフィール

西山 良紀
西山 良紀(にしやま よしのり)弁護士 リライト神戸法律事務所
兵庫県弁護士会所属。 離婚・男女問題、遺産相続、労働問題、債権回収などを多く扱う。 昼食の大半はラーメン。鶏がら・豚骨から出汁をとってラーメンを自作することもある。独立する際に、前所属事務所からもらった餞別は寸胴鍋とオリジナルラーメン鉢。

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