コインハイブ事件の控訴審判決で、東京高裁が男性を無罪とした一審・横浜地裁判決を破棄し、罰金10万円の有罪としたことを受け、弁護団が2月18日、ITエンジニアらに意見書の募集をはじめた。
意見書は、一般社団法人「日本ハッカー協会」(東京都千代田区)を通じて集め、弁護団が上告趣意書とともに最高裁に提出する予定。
主任弁護人の平野敬弁護士は「個々の支持不支持を超えて、この高裁判決が以後の先例として確立されてしまうことは絶対に防がなければならない」と呼びかけている。
●弁護人「最高裁に判断材料を提供したい」
男性は、自身のウェブサイト上に他人のパソコンのCPUを使って仮想通貨をマイニングする「Coinhive(コインハイブ)」を保管したなどとして、不正指令電磁的記録保管の罪に問われている。
意見書提出について平野弁護士は、弁護士ドットコムニュースの取材に、「刑法における不正指令電磁的記録の定義は十分に明確と言えるか。ウイルス罪で処罰される危険が高いのはエンジニアなので、エンジニアの視点から見て明確性を考える必要がある。最高裁にその判断材料を提供したい」と話す。
また、「最高裁において真摯に審理すべき事件だということを調査官に説得しなければならない」と指摘した。
「最高裁はわずか15人の裁判官で日本中の上告事件を扱っており、多くの事件は埋もれてしまい、まともに審理してもらえない。業界全体から懸念の声が上がっているということを印象づけたい」
意見書は、住所氏名や所属に加えて、自身の仕事や事件から受ける影響、ウイルス罪や高裁判決に関する意見を記載する。募集は2020年4月1日午前0時まで。
【寄稿】コインハイブ事件 意見書ご協力のお願い(https://www.hacker.or.jp/coinhiveopinion/)