女子高生による接客サービスをウリにする「JKビジネス」が問題視され、業者の摘発があいついでいる。業者だけでなく、そうした店で働いている女子高生が警察に「補導」されるケースも、たびたびメディアで報じられている。
こうした報道に対して、ネットでは「そもそも補導って何?」という疑問をコメントしている人もいる。弁護士ドットコムの法律相談コーナーにも「逮捕と補導の違いは何でしょうか?」という質問が寄せられている。
そもそも「補導」とはどんなもので、「逮捕」とはどう違うのだろうか。刑事手続きにくわしい荒木樹弁護士に聞いた。
●「逮捕」と「補導」は目的や内容が違う
「今回は、20歳未満の少年に対する、警察活動としての『補導』について説明します。これは『逮捕』とは全く異なるものです」
荒木弁護士はこう話す。どう違うのだろうか?
「まず『逮捕』とは、犯罪の嫌疑がある人の身柄を、強制的に拘束することです。
一方、『補導』は、対象となる少年が身柄拘束されるわけではありません。警察署まで同行させられることはあるかもしれませんが、これはあくまで本人の自由意志で、本人の意に反して強制連行されているのではない、ということになっています
なぜなら補導は、非行防止や少年の健全育成を目的に行われているものだからです。違法行為をした少年だけでなく、深夜徘徊・飲酒喫煙などの不良行為をした少年も対象です。さらに、場合によっては犯罪被害や虐待を受けた少年も、補導の対象となります。
補導の内容はケースバイケースで、事件捜査の場合もあれば、本人・保護者に対する注意・指導・助言や、学校などの関係機関への連絡の場合もあります。必要に応じて、支援・保護の措置がとられる場合もあります」
●根拠になる「法令」も違う
逮捕と補導は、その内容や目的が違うようだ。ほかにも違いがあるのだろうか。
「逮捕は『刑事訴訟法』という法律に基づいて、厳格な手続のもとで行われます。たとえば、逃亡や証拠隠滅のおそれがないと逮捕できませんし、逮捕していられる時間も48時間に限定されています。
一方、補導は法律ではなく『少年警察活動規則』という内閣府の国家公安委員会が決めたルールに基づいて行われています」
さらに、細かな運用は、都道府県警察が定めている部分もある。警視庁(東京都)の場合、高校などに在籍する少女がJKリフレなどで働いている場合、不良行為少年として補導対象にしているという。
荒木弁護士は「いわゆる『JKビジネス』は、少年の健全な育成を害する『有害業務』にあたると考えられるので、補導の対象となっているのです」と話していた。