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「なぜ信用できない贈賄供述が行われたのか」 初公判後に美濃加茂市長と弁護人が会見
初公判後、記者会見に臨んだ藤井浩人・美濃加茂市長(中央)

「なぜ信用できない贈賄供述が行われたのか」 初公判後に美濃加茂市長と弁護人が会見

受託収賄などの罪で起訴された岐阜県美濃加茂市の藤井浩人市長の第1回公判が9月17日、名古屋地裁で開かれた。これまで記者会見などで潔白を訴えてきた藤井市長は、法廷でも無罪を主張した。

初公判の直後、藤井市長は名古屋市内で記者会見を開き、「逮捕以来一貫して述べている通り、私は業者から現金を受け取ったという事実は一切なく、潔白です」と、しっかりと言葉を区切りながら述べた。

そして、「こうして自分の無実を主張することができるのは、美濃加茂市民をはじめ、多くの人の支援のおかげだと感謝しています。今後の公判の中で、私が無実であることが一日も早く明らかになるよう、弁護団の先生方としっかり取り組んでいきたい」と続け、裁判への意気込みを述べた。

●「当然行われるべき捜査が行われていない」

一方、主任弁護人の郷原信郎弁護士は、金を渡したとされる浄水設備会社の中林正善社長=贈賄側被告人として起訴=の供述を厳しく批判。「我々は、『贈賄供述が信用できない』というだけでなく、『なぜそのような信用できない供述が行われたのか』、『どうしてこういう事件が立件されたのか』ということも含めて明らかにしたいと思っています」と語った。

「証拠関係や捜査の経緯などを見ると、実質的に検察や警察に作り上げられた事件ではないかと考えています」。こう述べる郷原弁護士は、中林社長が関与したと思われる融資詐欺事件の大部分が不問に付されているとしたうえで、「贈賄供述が行われた経緯は、極めて不自然で、不可解です。自分の悪質・重大な事件が不問に付されることの期待と贈賄供述が関連しているのではないか、そうした期待が動機となって、虚偽の贈賄自白をしたのではないかと、われわれは考えています」と語った。

さらに続けて、警察・検察の捜査についても、「今回の捜査の経緯を見ると、当然行われるべき捜査が行われていません。すでに結論を先に決めているかのようなプロセスで捜査が行われています」と疑問を呈した。

そして、その一例として、「きわめて重要な証人となりうる、(贈収賄の現場とされる会合の)同席者に対して、藤井市長を逮捕する前にどんな捜査が行われたのか、その同席者の供述をしっかり確かめて、信用性を吟味した上で逮捕するというのが当然の捜査です。その当然の捜査すら行われていないことに、我々は重大な疑問を持たざるを得ません」と話していた。

●贈賄供述は「おまけみたいなもの」

弁護団のメンバーである神谷明文弁護士は、「本人が『贈賄した』と言えば自分が罪になるのだから、嘘を言うわけがないじゃないか、というのが警察・検察の論理です。一見これはもっともなように聞こえます。しかし、他の事件と決定的に違うところは、これは、『中林(被告人)の融資詐欺の中で出てきた供述』だということです。融資詐欺に贈賄をくっつけたとしても、おまけみたいなものです」と述べ、中林社長の立場が、贈賄の自白によって不利になることはないと強調していた。

(弁護士ドットコムニュース)

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