2016年07月20日 10時01分

大阪・西成で暴走族と居酒屋客が「集団乱闘」、ケンカで「正当防衛」は通用する?

大阪・西成で暴走族と居酒屋客が「集団乱闘」、ケンカで「正当防衛」は通用する?
写真はイメージ

大阪市西成区の路上で7月9日、客の男性4~5人と、付近の国道で暴走行為をしていた約100人のグループがトラブルになり、殴り合いとなる騒ぎが起きた。

報道によると、バイクや車で走っていたグループに、近くの居酒屋から出てきた男性客が路上にあった自転車やごみを投げ付け、避けようとしたバイクが転倒したことが発端になった。男性客と通行人とグループとの間でけんかに発展した。双方とも30~40代が中心とみられ、5人が頭にケガを負ったという。

双方が殴りあうケンカでも、先に手を出した者がいるだろう。「喧嘩両成敗」という言葉があるが、ケンカであっても、先に手を出した者に対して反撃した方は、「正当防衛だ」と主張することができるのか。それとも、ケンカで正当防衛が成立する可能性はないのか。刑事事件に詳しい岩井羊一弁護士に聞いた。

●場合によっては、正当防衛が認められる場合がある。

「典型的なケンカは、相手が攻撃してくることを予想していて、その機会に攻撃する単なる暴行・傷害ですから、正当防衛の成立する可能性はありません。

しかし、ケンカの中にはいろいろな態様があります。ケンカの場合でも、その場面では一方的な攻撃となっていたり、途中で予想できない攻撃をしてきたりしたという事情があれば、正当防衛が認められる可能性があります」

岩井弁護士はこのように述べる。具体的にはどんなケースだろうか。

「裁判例の中で、相手のケンカに応じさせようとする言動をうけ、避けることができたのに、これに応じたような例がありました。これについては、正当防衛の成立は認められませんでした。

一方で、ケンカを予想して現場に自ら赴いたところ、人数差のある相手から、突然木刀などで襲いかかられ、一方的に攻撃される状態になった場合に、正当防衛を認めることができる状態であったとされた事案もあります。

また、暴力団の対立抗争で、殴り込みに来られる可能性は予想していたが、予想を超えて、多数の相手が拳銃等を所持して殴り込みに来られた場合に、正当防衛が認められた例もあります。

ケンカであるという理由だけで正当防衛が否定されるわけではありません。その状況が『正当防衛が認められるような状況にあったか否か』を検討して判断されるということになります」

今回のケースについてはどう考えればいいのか。報道をベースに考えると、バイクの集団が騒音を立ててはいたが、ケンカのきっかけを作ったのは、ゴミ箱や自転車を投げつけた居酒屋客のようだ。

「具体的な状況が明らかでははないのではっきりしたことは言えませんが、ゴミ箱や自転車を投げつけたからといって、その後の暴行が当然に正当防衛と判断されるわけではありません。

先ほども述べたように、その後のケンカの状況で、『正当防衛が認められる状況にあった』ことが認められれば、バイクの集団の側にも、居酒屋客の側にも正当防衛が認められる可能性はあります。

ただ、一般的に考えると、今回のようなケースで、裁判で正当防衛を主張したとしても、認められる可能性は低いと思います」

岩井弁護士はこのように述べていた。

(弁護士ドットコムニュース)

取材協力弁護士

岩井 羊一弁護士
過労死弁護団全国連絡会議幹事、日弁連刑事弁護センター副委員長 愛知県弁護士会刑事弁護委員会 副委員長

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