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まさかの「首つり遺体」発見で警察沙汰に…空き家「探検ごっこ」で注意すべきこと
「空き家」でも住居侵入罪が成立する

まさかの「首つり遺体」発見で警察沙汰に…空き家「探検ごっこ」で注意すべきこと

埼玉県三郷市の空き家で1月下旬の夜、男子中学生(14)が、首をつった状態の遺体をみつけた。報道によると、この中学生は当時、友だちと2人で「探検ごっこ」をしていた。空き家の窓が開いていたので、カーテンを払いのけたところ、男性の遺体をみつけたという。

埼玉県警は、遺体について、自殺した可能性が高いとみているようだ。ネット上では、少年たちが「死体探し」の旅に出る映画『スタンド・バイ・ミー』になぞらえる意見もあったが、今回は「探検ごっこ」中に遺体を見つけたケースだ。「探検ごっこ」に法的問題はないのか。星野学弁護士に聞いた。

● 「空き家」でも住居侵入罪が成立する

「『探検ごっこ』とはいえ、他人の家に無断で入れば『住居侵入罪』が成立します」

星野弁護士はこう切り出した。空き家でも「住居侵入罪」は成立するのだろうか。

「一般的に『住居』というには、日常生活のために使用されていることが必要となります。そのため、たとえば、独居の人が自殺された場合、その家はすでに生活する人がいなくなっているので、もはや日常生活のために使用されているとはいえず、『住居』にあたりません。

しかし、住居侵入罪は、『住居』だけでなく、『邸宅』『建造物』などに侵入しても成立します。ここでいう『邸宅』は、住居に使用される目的で作られた家屋を意味します。判例上、空き家や閉鎖された別荘などが邸宅にあたるとされています。

一般の『邸宅』のイメージとは少し異なりますが、たとえば居住者が自殺されて、日常生活のために使用されていなくても、邸宅に侵入したとして、住居侵入罪が成立します」

●「警察に通報しなくても死体遺棄罪に問われるわけではない」

「探検ごっこ」をしていたのが、未成年である点は考慮に入るのだろうか。

「未成年者が犯罪にあたる事件を起こした場合には、単なるお説教ではすまないと思います。なぜなら、未成年者については、原則として、すべての事件を家庭裁判所に送致すべきという『全件送致主義』が採用されているからです(少年法42条1項)。

しかし、非行歴もなく、侵入の目的が窃盗や家屋の破壊・放火などでなければ、現実に家庭裁判所で処分を受けることはないでしょう。

ただし、この中学生は自殺された方の第1発見者です。したがって、遺体発見の状況などについて説明するなど、警察の捜査に対する協力が求められることは間違いないでしょう。

もっとも、遺体の第1発見者だからといって、かならず捜査機関に通報しなければならないという法的義務まではありません。仮に、警察に通報しないで帰ってきてしまったからといって、何らかの犯罪(死体遺棄罪など)が成立することはありません」

(弁護士ドットコムニュース)

プロフィール

星野 学
星野 学(ほしの まなぶ)弁護士 つくば総合法律事務所
茨城県弁護士会所属。交通事故と刑事弁護を専門的に取り扱う。弁護士登録直後から1年間に50件以上の刑事弁護活動を行い、事務所全体で今まで取り扱った刑事事件はすでに1000件を超えている。行政機関の各種委員も歴任。

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