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2016年05月12日 12時03分

産廃処分場で発見された「現金2300万円」の行方…誰がもらえるか詳細に検証

産廃処分場で発見された「現金2300万円」の行方…誰がもらえるか詳細に検証
写真はイメージです

京都府にある民間の産業廃棄物処理場で4月中旬、ゴミの中から現金約2300万円が見つかり、話題になった。持ち込まれたゴミの中に紛れていた可能性が高いという。

報道によると、重機を使って作業していた従業員が、ゴミに紛れた1万円札を発見。さらに周囲を探してみると、すべて1万円札で約2300万円分が見つかったという。集まったお金は、拾得物として施設を経営する男性が警察に届けたそうだ。

もし、持ち主が見つからなかった場合、この大金は誰のものになるのだろう。第一発見者の従業員なのか、届け出た経営者本人なのか、それとも処理施設の運営会社なのか。坂野真一弁護士に聞いた。

●持ち主が見つかれば「報労金」、見つからなければ「もらえる」

「遺失物法上、遺失物(落し物)を拾った人には、次の3つの権利が認められています。

・費用請求権(遺失物を届け出るのにかかった交通費などを求める権利)

・報労金請求権(持ち主が見つかったときにお礼をもらう権利)

・所有権取得権(持ち主が見つからなかったときに落し物をもらえる権利)

ただし、遺失物を見つけてから一定の期間内に警察か、拾った施設の管理者に届け出なかった場合、これらの権利を失うだけでなく、『遺失物等横領罪』に該当する可能性があります」

持ち主が見つかった場合はどうなるのか。

「遺失物を届け出た人には、遺失物の価格の5~20%に相当する、お礼をもらう権利(報労金請求権)が認められています。

具体的な金額については、上記の範囲内において当事者間で協議することになりますが、協議が整わない場合の報労金の金額について、現在の裁判例では、裁判所が決められるという考えをとっているようです。したがって、まずは持ち主と拾った人が協議して、それでも決まらないときは裁判を行うという手順になります」

持ち主が見つからなかったらどうなるのか。

「遺失物の存在が公表(公告)された次の日から数えて、3カ月が経っても持ち主が見つからないときは、『所有権取得権』により、遺失物をもらうことができます」

●従業員はもらえるのか?

「今回のケースについてですが、発見者は民間産廃処理施設の従業員とのことです。そして、お金を見つけたのは、業務中だと思われますから、法的には『施設占有者』が拾得者になると解されます。なぜなら、この場合、施設占有者の使用人その他の従業員は、施設占有者の機関(手足)として遺失物を拾得したと考えられるからです」

施設占有者とは具体的に、誰なのか。

「民法180条から、施設占有者とは施設を『自己のためにする意思』を持って事実上支配していると認められる者と解されています。つまり、今回は産廃処理施設を運営している会社(個人事業の場合は事業主)が施設占有者と考えられます。

まとめると、今回のケースでは施設の運営主体に、(1)費用請求権、(2)報労金請求権、(3)所有権取得権、が認められると考えられます。なお、持ち主が見つからなくて取得したお金や報労金は、『一時所得』として課税対象になるので注意が必要です」

「ちなみに」と言って、坂野弁護士はこう補足する。

「施設内で『一般人』が遺失物を見つけた場合は、事情が変わってきます。

たとえば、駅のトイレで一般人が大金を拾い、適切な手続きを経ている場合を考えます。このとき、落とし主が現れれば、駅の管理者と取得者に報労金を2分の1ずつ受領する権利が発生します。


一方、落とし主が現れない場合は、拾った一般人のみが現金を受領できます。ただし、拾得者が権利を放棄した場合は、例外的に施設占有者(駅側)が遺失物の所有権を受領することができるのです」

(弁護士ドットコムニュース)

坂野 真一弁護士
ウィン綜合法律事務所 代表弁護士。京都大学法学部卒。関西学院大学、同大学院法学研究科非常勤講師。著書(共著)「判例法理・経営判断原則(中央経済社)」。近時は火災保険金未払事件にも注力。
所在エリア:
  1. 大阪
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事務所URL:http://www.win-law.jp/
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