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使用者から労働者に対する損害賠償請求に対して,労働者が全面的に勝訴した事例

40代 男性
この事例の依頼主 40代 男性

相談前の状況 依頼者は,車両の輸出業者に勤務しており,車両の輸出に必要な事務作業全般を一人で担当していまいた。依頼者が退職した後,会社側が,依頼者が輸出の際に必要な事務作業の一部を怠っていたため,会社側に約200万円の損害が発生したとして,依頼者に対して約200万円の損害賠償請求を行いました。そのために,依頼者は,当職まで相談にお越しになりました。

解決への流れ 裁判の中で,次のような主張をしました。
①一部の損害は,依頼者が退職した後に発生した損害であり,依頼者の責任ではない。
②使用者の労働者に対する損害賠償請求は,商事消滅時効(5年)が適用され,会社側の主張する損害の一部は,時効によって消滅している。(通常の損害賠償請求権の時効は10年ですが,本件では,5年で時効消滅すると主張しました。)
③労働者に対する損害賠償は,労働者に重過失ある場合に限定される。
本件では,労働者一人に業務を任せきりにして,進捗確認を何もしなかった会社にも大きな責任がある。
仮に賠償義務があるとしても,全額の賠償義務を労働者に負わせるのは,公平に反する。
④依頼者は,在職中に一切残業代を受け取っていなかったので,仮に賠償義務があるとしても,未払の残業代と相殺する。
 裁判所は特に③について,こちらの主張を受け入れ,請求全部棄却とました。高等裁判所に控訴されることなく,全面勝訴で判決が確定しました。依頼者は会社に1円も賠償せずに済みました。

中川 匡亮 弁護士 中川 匡亮 弁護士からのコメント ③記載の通り,仕事の中で労働者にミスがあることは当たり前のことですので,会社から労働者に対する損害賠償は,労働者に重過失がある場合に限定されます。また,仮に賠償義務があるとしても,労働者に全額の賠償責任を負わせることはできないとする判例があります。
そのため,労働者が何らかのミスをおかしたとしても,使用者側の損害賠償請求が全面的に認められることはまずありませんので,支払ってしまう前に,まずは弁護士にご相談下さい。
 本件では,①~④とありとあらゆる方法を使って,賠償義務を争ったことが功を奏して,賠償義務を0円(なし)にすることができましたので,依頼者様にも良い結果をもたらすことができました。

中川 匡亮 弁護士
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