「耐えられないくらい眠いときがある」「昼寝がとても大事だから。来客無視して寝たい」。リクルートのサイト「Web R25」が20〜30代の社会人男性200人を対象にしたアンケートで、会社に仮眠室を求める男性からの悲痛な叫びがあがっていた。
このアンケートでは、「いつでも寝ていい仮眠室」と「いつでも飲んでいい社内バー」のどちらを会社に導入してほしいかを質問したところ、82.5%の回答者が「仮眠室」の導入を選択した。
この記事は、ニュースアプリ「ニューズピックス」でも話題となり、多くのコメントが寄せられた。「仮眠をとったほうが絶対業務の効率がいい」「少し寝てスッキリした状態で仕事をした方が生産性が上がると思う」と仮眠室の導入に賛同する意見が多くみられた。
労働環境をよりよいものにすることは、会社にとってもプラスのはずだ。社員の多くが仮眠室の設置を望んだ場合、仮眠室の設置を会社に求めることはできるのだろうか。労働問題にくわしい山田長正弁護士に聞いた。
●権利としては認められない
「結論から言うと、従業員は、法的には、会社に対して仮眠室の設置を請求することはできません」
山田弁護士はキッパリと述べる。
「従業員の権利は、あらかじめ就業規則や雇用契約書等で定められています。そこに明記されていない場合、従業員の権利としては認められないからです。
通常、『仮眠室を設置します』と雇用契約書や就業規則に明記されていることはないでしょうし、仮に明記されていれば、既に仮眠室は存在するでしょう」
残念ながら、会社に対して仮眠室の設置を求めることは難しいようだ。お疲れのビジネスマンは、どうすればよいのだろう。
「仮眠室がなくとも、従業員が自分のデスクで仮眠を取ること自体は妨げられません。休憩時間は、自由に利用できるのが原則ですからね」
周囲の目を気にして、堂々とデスクで寝ることはできないという人もいるようだが・・・
「どうしても仮眠室が必要だという多数の要望がある場合、実現は困難でも、会社と交渉を試みても良いかもしれません。
その方法は様々ですが、第一にすべきことは、会社が要求を受け入れやすいように従業員側が実現への準備をしておくことです。
たとえば、空き部屋をどう確保するか、ベッド部分はどう用意するか、間仕切りはどうするか、防犯面はどうするか・・・。
こういった点をまとめて、会社に要求する時点で、会社の負担が小さくなるような具体的な実現プランを従業員側から提案しておくことが、近道ではないでしょうか。
そのうえで、こうしたプランに賛同してくれた、従業員のなかでも地位が高い役職の人を通じて、会社に交渉してもらう方法等も考えられます」
山田弁護士はこのように述べていた。