いまをときめくアイドルグループ「ももいろクローバーZ」の「あーりん」こと佐々木彩夏さんが6月11日に18歳の誕生日を迎えた。
佐々木さんは、メンバー5人の中で最年少。これまで、グループが深夜帯のテレビやラジオ番組に出演するとき、佐々木さんだけは出ていなかった。本人も一日千秋の思いだったのか、ブログには「待ちに待ってたエイティーーーーーン」「待ってろよ、深夜ー!笑」と書き込んでいた。
いまメディアでは、10代前半のジュニアアイドルが大活躍しているが、若いアイドルが「仕事」をすることができる時間というのは、どのように制限されているのだろうか。労働関係の法律にくわしい中村新弁護士に聞いた。
●18歳未満の労働者は午後10時以降働けない
「18歳未満の夜間労働については、労働基準法(労基法)上、以下の制約があります。
(1)満18歳に満たない者は、午後10時以降の労働が禁止される(労基法61条1項)。
(2)中学卒業前の者(児童)は、原則として午後8時(一定の要件を満たした場合は午後9時)以降の労働が禁止される(同条5項)」
そのルールは、アイドルなどの芸能人にも当てはまるのだろうか。
「この制約が適用されるかどうかは、その子役やアイドルなどが、『労基法上の労働者』に該当するかどうかによって決まります」
アイドルが「労働者」として働いている場合なら、深夜労働はダメなわけだ。ただ、芸能人の働き方や契約は多岐にわたるため、中には「労働者に当たらない」とされる人も存在する。それはどんなケースだろうか?
「1988年に、歌唱や演技などが他人によって代替できず、芸術性、人気など当人の個性が重要な要素となっていることなど、いくつかの要件を満たす場合には、『労基法の労働者』ではないとする通達が出ています」
●実際には「自主規制」が行われている
それはつまり、人気が高くて代役がきかず、契約的にも立場的にも労働者とはみなされないような場合であれば、18歳未満のアイドルが深夜に働いてもよいということだろうか。
「法律上は、そうなります。しかし、実際には、テレビ局や芸能プロダクションが、労基法と同水準の自主規制を行っているようです。また、日本モデルエージェンシー協会が制定した『年少者・児童の出演に関するガイドライン』にも、労基法に即した夜間労働の制限が明記されています」
なるほど。それで、あーりんは、深夜出演を「控えていた」というわけか。ちなみに、深夜枠に放送されている番組であっても、「夜間以外の時間帯に行った録画を、夜間に放映することについては、特段の制約がありません」ということだ。
大人気のアイドルも、ひとたび仕事を離れれば「ひとりの子ども」である。ファンや、周囲の大人たちは、その点を忘れないようにして、成長を見守りたいものだ。